サイゾーpremium  > 特集2  > 【ジャニー喜多川】も憧れた宝塚の処女性と育成システム

――かつて、ジャニー喜多川は「男版宝塚を実現したい」という野望を実際に語っていたという。ここでは、ジャニーズ事務所の文化的歴史を紐解き、社会への影響を考察した『ジャニ研!』(原書房)著者の1人、矢野利裕氏が両者の親和性について解説する。

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宝塚67期生の燁明(よう あきら)を母に持つマリウス葉。史上初のジャニーズと宝塚のハイブリッドである。

 ジャニーズと宝塚の類似点・接点について話す前に、まず「ジャニーズがもっとも力を入れているのは舞台活動」という大前提から確認しましょう。もともと少年野球のコーチをしていたジャニー喜多川が、その少年たちを売り出すエンターテインメント事業を志すのは、ブロードウェイミュージカルの映画版『ウエスト・サイド物語』を見たことがきっかけでした。今でこそテレビ番組への出演や音楽活動が目立つジャニーズタレントですが、今も昔も舞台公演を継続して行っていますし、ジャニー喜多川が本当にやりたいのも舞台なんです。

 そしてジャニーズが舞台活動を始めるにあたって、宝塚を参考にしていたという証言も残されています。古くからジャニーズタレントを取材してきた作家の小菅宏氏は、著書の『「ジャニー喜多川」の戦略と戦術』(講談社)の中で「僕は男性版宝塚を実現したい。いや必ずやる」というジャニー喜多川の発言を紹介しています。

 確かに、両者に類似点が目立つことは紛れもない事実です。まず舞台の世界観は、いずれもリアリズムというよりファンタジー。ジャニーズの舞台は主要キャストが男性のみで、この部分も女性だけで構成された宝塚を思わせます。

 そして歌と踊り主体の舞台でありながら、「性」の要素が抜き取られているのも共通点です。

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