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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第47回

「大組閣」と「地方⇔東京」問題

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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小林よしのり『ゴーマニズム宣言スペシャル AKB48論』(幻冬舎)

 去る2月24日、AKB48グループの「大組閣祭り」が行われた。「組閣」とはグループの各チームを再編成し、バランスを再調整、キャプテン等のまとめ役の人事異動を行うことを指す。これまでは各グループ内、つまりAKBはAKB、SKEはSKEの内部での人事異動を意味していたが、今回の「大」組閣はグループ間の異動が行われ、大きな波紋を呼んだ。そして結果的にはAKBで伸び悩んでいる中堅~準若手メンバーが地方の姉妹グループへの「移籍」「兼任」となる一方で、姉妹グループのエース・準エースクラスが東京のAKBへの「移籍」「兼任」となるケースが多く見られる組閣となった(もちろん、選抜常連の宮澤佐江がSKE48チームSのリーダーに任命されるなど、AKB48のベテラン人気メンバーがおそらくは指導的役割を期待されて地方に派遣されたであろう人事も散見された)。

 要するに今回の大組閣では、東京で活動しメディア露出の機会に恵まれているAKBのメンバーには環境を変え、話題をつくることでの(そして相対的に人数の少ない地方グループに移動することでの)逆転のチャンスを与え、逆に地方のエース・準エース級のメンバーには、アイドルの旬である18~20歳のタイミングで東京の芸能界で積極的に仕事をする機会を与え「売り時」を逃さないようにする、という意図があったのではないかと考えられる。

 こうして考えると、今回の大組閣のテーマが中央と地方の問題であったことが伺える。例えばSKEは一昨年末から主力メンバーの大量離脱問題に悩まされ続けている。個々にはそれぞれ多様な理由があるのだろうが、全体としては背景に「AKBの非選抜メンバーのほうが、姉妹グループの選抜メンバーよりメディア露出が有利である」という身も蓋もない現実があったのはまず間違いないだろう。

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