>   > 【綾野剛】“立ちション”ショット 名物カメラマンの“業”
ニュース
【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

綾野剛の“立ちション”ショットからのぞきまで! 写真週刊誌を彩る名物カメラマンの“業”

+お気に入りに追加

――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!

1403_ayanogo.jpg
綾野剛 写真集 『 胎響 』(ワニブックス)

 かつては5誌あった写真誌も、今では「フライデー」(講談社)、「フラッシュ」(光文社)の2誌だけになった。写真誌の使命は決定的な現場写真。それまで芸能スキャンダルは女性誌を中心に目撃談など証言だけで構成されたものだったが、あくまでもそれは間接的な証言構成であり、決定的なものではない。そこで登場したのが写真誌。決定的な現場を撮れば、それがすべてを物語るほどインパクトは強い。撮られたほうも文句は言えまい。

 昔、こんなことがあった。

 人気演歌歌手がラブホテルに女性と入る決定的な瞬間を撮った。事務所は「人違いでしょう」ととぼけた。ところが、当の歌手が写真を見た瞬間、「あっ、これ横浜の××ホテル」と思わず漏らしてしまった。

 決定的な瞬間を撮るには時間、人材、金の取材三点セットは必要不可欠。どれが欠けても、そうそうスクープショットは撮れない。残った2誌のひとつ「フライデー」には感心する。伝統的な張り込みをこまめに続けており、最近は「張り込み日記」なるコーナーを設け、芸能人の日常生活まで写真に収め掲載している。元写真誌編集者もこう話す。

「数打てば当たるみたいな作戦もあるでしょうが、マメに張り込みを続けていれば、各々の芸能人の住まいから日頃の行動まで把握できている。そのうち大きなスクープも撮れる可能性を秘めている。日々、張り込みを続けられていると思うと、芸能人にとっては脅威でしょうね」

 最近同誌では、綾野剛の「立ちション姿」が撮られた。これも張り込みの結果、撮影できた最たるものだろう。まさか、最初から立ちションを狙っていたわけではあるまい。むしろ、モテモテの綾野の女性関係を狙っていたのに女性は撮れず、たまたま立ちションが撮れた。綾野ゆえ扱いが大きくなったのだろう。まさに「継続は力なり」である。

 張り込み現場の主役はなんと言ってもカメラマン。カメラの性能もよくなり、隠し撮りでも以前よりかなり撮りやすくなっていると聞く。張り込みカメラマンはヌード写真のようにきれいに撮る必要はない。多少、ピンボケでも決定的瞬間を捕らえていればいい。だが、それが難しい。

 昔、カメラは素人だが、別な特殊技術を持つカメラマンがいた。無線技術が優れ、盗聴も得意。常に自宅であらゆる無線を傍受。その結果、警察無線を聞き、事件現場にパトカーよりも先に現場に付き、写真を撮っていたのだ。また、バイクの運転がプロ級のカメラマンは、常に追っかけの現場で貴重な戦力になっていた。車を追いかける場合、気付かれると大半は巻かれるものだ。

「だいたい芸能人はバックミラーで追跡車を見ている。同じ車がずっと付いてきたら不自然。その場合は、わざと路地に入ったり、急にスピードを上げたり下げたりして相手の反応を見る」(芸能関係者)

 その点バイクは便利。後ろだけでなく左右の横にも付けられる。件のバイク乗りのカメラマンは曲芸が如くバイクを操り、時にはバイクに乗りながら一瞬、両手を離して車の中にいるターゲットを撮ることもできた。

 学生時代の部活が役立つこともある。アメリカンフットボール部出身のカメラマンは、混乱した現場で本領を発揮する。例えば、警察に犯人が護送される時、報道陣は殺到し、ガードする警官も応戦する。犯人を撮るのは至難の業だが、彼はアメリカンフットボールの要領で強靭な体で突進。周囲をはねのけ写真を撮ってしまう。時には警官まで突き飛ばし、公務執行妨害で逮捕されたこともあった。

 そんななか、写真誌が生んだ産物が、"のぞき専門カメラマン"だろう。当時では珍しい赤外線カメラを使い、新宿公園などに現れるカップルの痴態を撮り、名物コーナーとして人気を博していた。そのうちのひとりは、著者も知る真面目な男だった。元は通信社のカメラマンだったが、「いつも決まった会見とかに行かされて決まった写真を撮るのに疑問を持ち、自分なりの独自の世界のモノを撮りたい」ということから一転、のぞき専門カメラマンになったという。公園に現れるカップルの痴態を狙うのは普通、"のぞき"という性癖を持つ人たちだが、彼はこう話した。

「のぞきにもルールがあって、いかに見つからずに激しいカップルを見つけるか競い合う世界。要は本番までしているカップルがベスト。それを後で自慢しあう。本来なら自分が見つけたという証拠として仲間を現場に呼ぶのだが、写真なら後で撮ったものを見せれば立派な証拠になった」

 今やユーチューブなどで映像が流れる時代だが、やはり写真は想像力を掻き立てる。ターゲットになる芸能人は大変だろうが、写真の素晴らしさを痛感する。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。


サイゾープレミア

2016年12月号