サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > 【キムタク】表紙じゃ売れない!? ジャニーズ表紙の実力

――コンビニや書店で雑誌の棚に目をやると、表紙には同じジャニーズタレントの顔がズラリ……。そんな光景を目にしたことがある人は多いだろう。テレビや音楽関連のメディアでは、彼らが圧倒的な動員力=数字を持っているのはサイゾーをはじめ、各メディアでも再三報じられてきた通りだが、では雑誌の場合は……? ということで、大型書店の売上データなどを参考に、表紙にジャニーズ登場で雑誌は売れるのかを検証!

V6に今井翼……ジャニーズ的にはオワコン気味のタレントが出版業界で力を発揮か!?13年度ジャニタレ表紙雑誌、その内容と“消化率”

2013年に出版された雑誌(テレビ誌・アイドル誌を除く)の中で、年に数回しかジャニーズタレントが表紙に登場しない雑誌に絞り、さらに数字の変動が顕著だったもの6冊をピックアップ。

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【1】「今さらV6って(笑)」と侮るなかれ
CDジャーナル

音楽出版社/84年創刊/780円
[平均消化率]59.2%→[V6表紙の消化率]109.4%
表紙に初のジャニーズタレントを起用。アーティストの知名度にとらわれず、コアな切り口の特集を行うこの雑誌らしく、V6を“ジャニーズ一突き抜けたポップス・グループ”と定義し、大特集を実施。同時期発表のアルバムについて、制作にも深く携わったというメンバーたちのインタビューを展開したほか、撮り下ろしの写真や全シングルガイドなども掲載。ファン垂涎の内容だったため、初回入荷分は売り切れて消化率は100%超え。売上部数も通常の2倍以上を記録した。


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【2】ジャニーズの新機軸ともいえるコア路線
パセオフラメンコ

パセオ/84年創刊/770円
[平均消化率]33.6%→[今井翼表紙の消化率]59.1%
1984年創刊の老舗フラメンコ専門誌に年間2回も登場しているのが、今井翼。実は彼、数年前からスペインに渡ってフラメンコを習得しているほどの愛好家。13年はマドリードの王立劇場のステージにも上がるなど、フラメンコ界ではスタータレント扱いされている。そして表紙を飾った号は、売り上げ、消化率ともに好調。読者層の限られる専門誌では、国民的人気を誇るジャニーズタレントの登場が新たな顧客層を獲得するという確かなプラス効果を生むことを証明している。


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【3】マンガ実写化という招かれざる客
少年サンデー

小学館/59年創刊/270円
[平均消化率]74.2%→[中島健人表紙の消化率]59%
マンガ誌の表紙にもごく稀に登場するジャニーズタレントだが、「少年サンデー」では、人気連載『銀の匙 Silver Spoon』の実写映画化決定に合わせ、主演の中島健人(Sexy Zone)が登場した。中島は昨年末の紅白に出場するなど、ジャニーズの未来を背負って立つ存在だが、「まだ売り出し中で知名度がいまひとつ」「普段は連載マンガの主人公や女性アイドルが表紙を飾るマンガ誌」「読者層もジャニーズファンとはまったく重ならない」という悪条件が重なり、消化率は年間平均を下回る結果となってしまった。


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【4】ソロより「ゴコイチ」がテッパン!
Hanako

マガジンハウス/88年創刊/550円
[平均消化率]60%→[嵐表紙の消化率]58.2%
消化率だけを見ると大きな変化は見られないが、実は書店の仕入れ部数は年間平均の約2.5倍。売り上げは3倍近くと、明確な“ジャニーズ効果”を確認できた。韓流アイドル・2PMが表紙を飾った号には、仕入れ部数、消費率などすべての面で圧勝。なお、次号では大野智がソロで表紙に登場。売り上げや消化率は平均を上回ったが、仕入れ部数はメンバー全員が表紙を飾った号の約半分。書店側の露骨な扱いの違いが確認できてしまった。


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【5】“嵐”効果はまったく発揮されず
東京ウォーカー

KADOKAWA/90年創刊/420円~450円
[平均消化率]64.5%→[相葉雅紀表紙の消化率]67.8%
男女を問わず旬な人気タレントが表紙を飾る東京ウォーカーには、嵐から相葉雅紀が登場。しかし普段から佐藤健、瑛太、綾野剛、三浦春馬らイケメン俳優が数多く登場していることもあってか、消化率や売り上げに大きな変化は見られなかった。なお、ほかのイケメン俳優が登場した号も特に変動はなく、年間最高の売り上げを記録したのは、ローラが表紙を飾ったディズニー特集の5月7日号。表紙のタレントが売り上げに与える影響自体が小さい雑誌と言えそうだ。


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【6】天下のキムタクも人間国宝には勝てず……
婦人公論

中央公論新社/16年創刊/550円
[平均消化率]60.9%→[木村拓哉表紙の消化率]70.5%
普段は黒木瞳、高岡早紀、桃井かおり、大竹しのぶなど、ミドルエイジの女性が多く表紙を飾る雑誌に、キムタクが登場! 消化率は年間平均を上回ったが、書店側も仕入れ部数を増やすわけでもなく、際立ったジャニーズ効果と呼べるほどの変化は見られない。同誌でほかに昨年表紙を飾った男性は、人間国宝・坂東玉三郎と江原啓之がいたが、キムタク表紙の号は消化率、売り上げともに敗北。坊主姿のAKB48・峯岸みなみが表紙を飾った号には、かろうじて勝利している。


※今回参考にした数字は、某大型書店の現時点での消化率。入荷冊数に対して実際に売れたパーセンテージとなる。本の売り上げのひとつの指針として参考されたし。


 これまでもサイゾーでは、ジャニーズ事務所によるメディア席巻の実態を追ってきた。テレビなどはもはや説明不要なまでに、ジャニーズのタレントを見ない日はない状況だが、出版業界においても同様、彼らの力がいまだ衰えていないことは、書店の雑誌棚(特にテレビ誌やファッション誌、カルチャー誌)を見渡せば察しがつくだろう。しかし実際に数字が伴っているのかどうかは、視聴率とは違い一般の目には触れにくいところ。今回はそういった見えにくい数字の部分も解明しつつ、ジャニーズと雑誌の関係を掘り下げていきたい。

 ジャニーズタレントの表紙への登場と、雑誌の売り上げの関連を探る前に、まずは各雑誌表紙への彼らの露出状況を概観してみよう。ジャニーズタレントが表紙の雑誌として、誰もが思いつくのはテレビ情報誌だろう。「ザテレビジョン」(KADOKAWA・月刊版と週刊版の2種あり)「TVガイド」(東京ニュース通信社・月刊版と週刊版の2種あり)「TV LIFE」(学研パブリッシング)をはじめとした各誌は、年間を通して見てもジャニーズタレントが表紙を飾ることは異様に多く、内容も毎回ジャニーズの話題が手厚く扱われており、依存度が非常に高い。というのも、テレビ誌は基本、テレビの番組内容にスポットを当てた記事がほとんどであり、前述の通り、毎日見ない日はないほど、ドラマ・バラエティー・音楽番組に至るまで、ジャニーズタレントの起用率は高く、自ずとテレビ誌も彼らを扱うことが多くなる。後述のカルチャー誌、ファッション誌などにもいえることだが、大前提としてジャニーズタレントが雑誌に出る一番の理由は“パブリシティ”つまり、宣伝目的が主である。CDのリリースや出演映画の公開、番組の放送など、宣伝事項ができたタイミングで雑誌出演を果たすことがほとんどで、テレビ誌などはその最たるものといえるだろう。

 一方で「Myojo」(集英社)や「POTATO」(学研パブリッシング)などの“実質ジャニーズ雑誌”と言える芸能情報誌はそういった、パブリシティとは関係なく毎月ジャニーズアイドルたちを起用している。一般誌とは違い、まだ知名度の低いジャニーズJr.までもカバーしており、完全にファン専用の雑誌、つまり雑誌そのものがある種「ジャニーズのパブリシティ」として機能しているのが特徴だ。

 さて、映画誌やカルチャー誌、音楽誌はどうだろうか。「+act」「+act.mini」(ともにワニブックス)、「BEST STAGE」「QLAP!」(ともに音楽と人)、「CINEMA SQARE」(日之出出版)など表紙がほぼ毎回、ジャニーズという雑誌も多い。もちろん、こちらも映画公開やCDリリースに合わせての登場がほとんど。映画でいえば、脇役も含めジャニーズタレントが出演した邦画は2013年に公開したものでも優に20本は超えているのだから、むしろジャニーズを避けて映画雑誌をつくろうというほうが大変なのかもしれない。こういったことからも、エンターテインメント業界のジャニーズへの依存度の高さがうかがい知れよう。

 そのほか意外なところでは、リバーフィールド社発行の日本の芸能・文化を海外へ紹介する雑誌「Eye-Ai」は英文月刊誌にもかかわらず、なぜか表紙が毎回ジャニーズタレント。またメンズファッション誌の「FINEBOYS」(日之出出版)も同様。発行元の日之出出版は、先に挙げた「CINEMA SQARE」のほか、発行する雑誌の表紙の大半にジャニーズタレントを起用しているので、出版社自体がジャニーズ事務所とベッタリの関係と言えるだろう。

 出版社とジャニーズ事務所の関係性について、女性誌で編集者を務めていた人物は次のように語る。

「サイゾーさんがよく報じているジャニーズ事務所の“メディア支配”というものは、出版業界にも確かに存在します。その最たるは、ジャニーズが各グループごとに毎年出すカレンダーの利権。カレンダーは毎年各出版社各グループのものが発行されるのですが、ジャニーズ事務所は、カレンダーという確実に“売れる商品”が少数の出版社に偏らないように、内部で調整を行っているんです。ドル箱商品であるカレンダーの発行を複数の出版社が手がけているのはそのためです。」(元女性誌編集者)

 ジャニーズへの貢献度が高い出版社から、カレンダーの制作が割り振られる……という話もあるように、普段から表紙等でジャニーズタレントを起用しておくことは、ジャニーズ事務所に“恩を売る”意味もあるわけだ。

 ただ、表紙にジャニーズタレントを起用することが簡単かというと、まったくそんなことはない。

「出版社としてジャニーズ事務所と付き合いがなく、創刊したばかりの雑誌の場合などは、表紙どころかジャニーズタレントに誌面に出てもらうこと自体が難しい。ジャニーズ側にはメリットしかないと思われる出演作の宣伝記事でも、掲載を断られることもあるんです。様々な人脈を使ってアプローチし、ジャニーズタレントの記者会見、はたまた事務所関連のイベントやパーティーにも足を運んで、ジャニーズサイドのスタッフに何度も挨拶し……と努力を重ねることで、やっと小さな扱いの記事の掲載にたどり着けるんですよ」(同)

 そして「自分が編集者を勤めていた数年前は、芸能ページの小さな記事でも、ジャニーズタレントが登場すると読者ハガキの反響が上がった」というように、かつてのジャニーズは確かに“数字”を持っていたという。ジャニーズタレントの起用は、やはり出版社側にも魅力的な存在だったわけだ。

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 では、その神通力は今でも通用するのだろうか? この先は、年に数回しかジャニーズタレントが表紙に登場しない雑誌に焦点を絞り、実際に売り上げに与える影響について検証していこう。なお売り上げのデータは某大型書店の仕入累計、売上累計、消化率(仕入れた部数が実際に売れた割合)を参考にし、2013年に発行されたものに限定した。特筆すべき変化の見られた6誌については、別枠を設けて上でも詳細を紹介する。

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