サイゾーpremium  >   > 【藤原紀香】結婚!? 週刊誌の飛ばし記事の作り方
【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

藤原紀香結婚カウントダウンと「週刊誌はウソばっかり!」な飛ばし記事の作り方

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――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!

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『紀香バディ!2 リ・アル』(講談社)

「結婚を前提にお付き合いしていると聞いています」

 判で押したような事務所からの発表。今年10月、藤原紀香が外資系テレビ制作会社勤務のイケメン男性との熱愛を認めた。その背景について、スポーツ紙芸能記者は次のように語る。

「半年ほど前に一部スポーツ紙が報じた相手ですが、当時はノーコメントだった。今回は『フライデー』(講談社)にツーショットを撮られたことで、関係を認めたようです。お相手は紀香好みのインテリでイケメン。今の紀香は芸能活動よりも文化人としての活動が多く、そのイメージを崩さないためにもただの遊びではなく、”結婚前提”という言葉に繋がったのでしょうが、このまま結婚かというとまだ疑問が残る。以前、交際を認め結婚間近とも言われた外資系証券マンともその後破局しているだけに、結婚には慎重になっていると思います」

 もっとも、今の紀香が一般人と付き合っていてもさほど驚きはない。「42歳にしてあれだけのプロポーションと美貌を持つのだから男も放っておかないし、男がいないほうがおかしい」という茶の間の声が聞こえてくる。

 紀香もそうだが、交際を認める決定的な証拠になるのが現場写真。写真誌がない時代には女性誌を中心に目撃談などの証拠だけで熱愛記事にした。筆者もそれらの記事に携わったことがあるが、多少の無理があったと自省する。ゆえに、女優から「週刊誌はウソばかり書く」と皮肉を言われたこともあり、それは今現在の週刊誌も同様だ。

 ウソは書かない。ただ、”ひとつ”のことをオーバーに書いてしまうことがある。それが当時の週刊誌だった。古き良き時代の話である。昔、「ヤングレディ」(講談社/87年廃刊)という女性週刊誌があった。故・梨元 勝氏が記者をしていたことでも知られる雑誌だった。

 毎週行われるプラン会議では、「熱愛や離婚」などスキャンダラスなプランを求められるが、毎週そうネタはない。そこで記者は、新聞のラテ番を見る。特にドラマをチェックすると必ず男女の共演者がいるので、それを適当に「熱愛」として、無理矢理記事にするのだ。番組スタッフなどの「仲がいい」という証言をもとに作られるから、「単に共演者として仲がいい」だけの話が熱愛に変換されてしまうわけだ。ただ、芸能人同士の交際は共演から始まることが大半だから、なまじ外れでもなかった。

 目撃談だけでは弱いことから誕生したのが写真週刊誌だった。プライベートな現場を決定的な写真でおさえ、熱愛関係を裏付ける。そうして写真誌は大変な話題を呼び、「フォーカス」(新潮社/81年創刊、01年休刊)が火をつけた写真週刊誌は、瞬く間に先の「フライデー」や「フラッシュ」(光文社)など5誌に増え、写真週刊誌時代が到来した。

 筆者もその一誌「エンマ」(文藝春秋/85年創刊、87年休刊)に所属していたが、撮る現場はほんの一瞬。その一瞬を撮るための時間と体力は並大抵なことではない。1カ月間、定点観測的にターゲットのマンションを張り込む。近所の住人から「不審な車がいつもいる」と警察に通報され、警官の職務質問を受けることもしばしばある。張り込み中、ついウトウトと寝てしまい、その間に決定的な瞬間を取り逃がすどころか、「風邪ひくよ」とターゲットにしていた芸能人に注意されたこともある。

 どんなに大きなネタでも写真なくしては記事にできない。やはりカメラマンの腕にかかっているのだ。写真誌にきれいな写真は必要ない。多少ピンボケでも決定的な写真が求められる。そのなかでも、特に印象に残る現場がある。それは吉永小百合の新婚時代に遡る。「新妻らしい現場が欲しい」という編集長の要請に新居を張り込んだ。

 当時の吉永はすでにトップ女優。新婚とはいえ、夫婦で買い物なんてことはあり得ない。定点観測するうちに、夫が仕事に出かける際マンションの玄関先に吉永が見送りに出てくることがわかった。ツーショットを撮れるチャンスはそこしかない。そこで、マンションの隣のビルの屋上を借りた。さりとて、夫が出かける一瞬を撮るのは至難の業。狙ったのはマンションのドアが開く瞬間、出かける夫と玄関口で送り出す妻のツーショット。

 しかも、当時テレビ局に勤務していた夫の出かける時間は不規則だった。カメラマンは早朝からカメラを構えた。それも出てきてからでは遅い。レンズを覗き、シャッターに指を構えたままの姿勢をとり続けた。

 飲み物はストロー、タバコもくわえタバコのまま。失敗を繰り返してようやく撮れた。それがスクープを追う写真誌スタッフの喜びである。写真誌の裏には読者の撮らない努力が隠されているのだ。

 そんな写真誌同士がしのぎを削っていた時代も、やがて終焉を迎える。

 今では「フライデー」「フラッシュ」の2誌になってしまったが、張り込みを続け、毎週のようにスクープを掲載するのは「フライデー」だ。

 そんな「フライデー」だが、近年、発売日にスポーツ新聞がスクープを”先出し”することが多々あった。それに激怒した「フライデー」側は、発売日(金曜日)の翌日でないとスポーツ紙は掲載できない旨を通達したという。記者やカメラマンの努力の結晶を「人のふんどしで相撲を取る」が如く、簡単に記事にされては困るということなのだろう。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。


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