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第2特集
最新・若者文化白書【4】

ヒップホップにもボカロにも水をあけられたロックのジレンマ

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──こちらの記事で見てきたように、ヒップホップが今再び草の根で盛り上がっている。00年代に生まれたニコ動系音楽も勢いに乗っている。では、かつて若者の音楽としての存在意義を一手に担ってきたロックはどうか? 若手バンドシーンが抱えるジレンマを考察してみた。

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『閃光ライオット2012』(SMD itaku)

 TOKYO FMの番組「SCHOOL OF LOCK!」らが主催する「閃光ライオット」やヤマハの「Music Revolution」など、10~20代前半のミュージシャンを対象としたコンテストの応募者数は毎年右肩上がり。なかでも「閃光ライオット」は、ねごとやGalileo Galilei、ズットズレテルズ(一部、現OKAMOTO’S)などの人気バンドを輩出している。主催のひとつがソニーミュージック=レーベルによる青田買い的コンテストとはいえ、若手の登竜門としての機能は果たしているようだ。またアニメ『けいおん!』の影響や、80年代バンドブームの最中に青春を送った保護者の理解などもあり、近年、高校軽音部の部員数は増加傾向にあるという。

 しかし本特集で紹介しているヒップホップや、ボーカロイド・「歌ってみた」ほどに10代バンドシーンが盛り上がっているかと問われると、首をひねらざるを得ない。そもそも、シーンが形成されているとも言いがたい。

 その理由のひとつは、ロックが成熟したコンテンツだから。一見矛盾した物言いだが、バンドのステップアップのモデルを考えるとわかりやすい。音楽の趣味の合う面々がバンドを結成し、楽器を購入。曲を作ってはリハーサルスタジオを借りて練習を重ね、チケットノルマを負いながらライブハウスに出演して地道に動員を増やしたり、「閃光ライオット」のようなコンテストを勝ち上がったりする。

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