>   >   > 【町山智浩】ひとりの黒人野球選手はただ差別に耐え続けた
連載
町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第68回

ひとりの黒人野球選手はただ差別に耐え続けた

+お気に入りに追加

雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『42』

1306_machiyama_01.jpg

黒人差別が横行していた1940年代に、メジャーリーガーとして活躍した黒人選手とその球団会長の実話を基にしている。本作は、オープニング興収で2730万ドルを叩きだし、今年の4月15日に全米でナンバーワンヒットになった。同興収は野球映画史上の最高記録。

監督・脚本/ブライアン・ヘルゲランド 出演/チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリーほか 日本での公開は未定。


 4月15日、メジャー・リーグの各球場で、選手たちがみんな背番号42のユニフォームを着た。1947年のこの日、メジャー・リーグで初めてアフリカ系の選手ジャッキー・ロビンソンが公式試合に出た。その50年後の97年、4月15日がジャッキー・ロビンソンの日に定められ、この日だけ選手はみんなジャッキーの背番号42をつけるようになった。永久欠番になった42を。

『42』は、ジャッキーがメジャーに出場した47年の戦いを描いている。

「チームに、誰か黒人を入れるんだ」

 ブルックリン・ドジャーズのGM(ジェネラル・マネージャー)ブランチ・リッキーがそう言った時、関係者は反対した。黒人選手はひとりの前例があるだけで当時、メジャー・リーグは100%白人。黒人は入れないという暗黙のルールがあった。

 特にアメリカ南部では、南北戦争で奴隷制が撤廃された後も人種隔離法が施行され、白人と黒人は、学校もレストランも、バスの座席も隔離されていた。人種隔離への反対運動が始まったのは8年後の55年、撤廃されたのはそれから9年後の64年だ。

「金のためだよ」ブランチ・リッキーは強かに笑う。「黒人を観客として取り込みたい。また、強い選手が活躍すれば、優勝してまた儲かる」

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2017年8月号

大人のための「エロ」読本

大人のための「エロ」読本

チラリと見える和モノ写真進化考

チラリと見える和モノ写真進化考
    • 椿原愛「和製ミランダ・カーのチラリズム」

インタビュー

連載

    • 【RaMu】母を沖縄に連れて行きたいんです。
    • ハワイのボンダンスとフクシマオンドの故郷(後編)
    • 話題のユニット【PKCZ】独占インタビュー
    • 【岡田結実】RADWIMPSの歌詞に心打たれる
    • 不定期連載「東京五輪1964-2020」
    • 【渡辺麻友】は、AKBを卒業しまゆゆー!
    • 【日本人エンジニア】の未来と弱点
    • 高須基仁の「全摘」
    • 門外不出のトークショー【名倉潤】のテレビへの愛
    • 【喧嘩祭り】が根絶されない理由
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【TLC】史上最強の女性グループ15年ぶりの最終作
    • 【金塊強盗多発】に見る「警備会社」の歴史
    • 精神錯乱を【マラリヤ感染】で治癒せよ
    • 町山智浩の「映画でわかる アメリカがわかる」
    • 【水道民営化】の目的は老朽化対策か海外事業参入か?
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/上からマユコ
    • ジャングルポケットの「アダルトジャングル探検録」
    • 【ハッピー・マニア】が変えた日本人女性の結婚観
    • SNSでやりとりされるエロ写真や動画の真実
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 更科修一郎の「批評なんてやめときな?」
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』