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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第36回

堀潤とこれからの マスメディア

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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『徹底討論!ニッポンのジレンマ』(祥伝社)

 僕の親しい友人でもあるNHKアナウンサー堀潤が先日、同局に辞表を提出した。彼は震災以降、主に原発報道の姿勢をめぐってNHK上層部と衝突を繰り返していた。僕が知る限りでも何度も辞意を伝えては慰留される、ということを繰り返していたはずだが、今回ついに本当に局を去ることになったようだ。この1年、彼はアメリカ・ロサンゼルスのUCLAに留学していたのだが、上層部と決裂した直接の原因は、彼が留学中に制作したドキュメント映画のロサンゼルス市民を対象とした上映会をNHK側が中止したことだ。激怒した堀は日本の写真週刊誌に一連の事情を暴露し、NHKは堀への処分を検討し始めたと聞いている。

 堀潤と所属団体の間のことは、彼自身がすでにあちらこちらで書いていることだし、外野がこれ以上とやかく言うことではないように思う。とりあえず僕は友人としても、そしていち評論家としても堀潤を応援するつもりだ。だからこそ、僕は堀潤の「これから」について考えたい。

 そもそも、堀と組織との衝突の背景にあったのは、マスメディアの言葉というものそれ自体が、今、人々の信頼を失いつつあるということにどれほど敏感であったか、という問題のように僕は思う。

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