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第1特集
安倍政権で異変?北朝鮮との危険な関係

父と総連の密接交際を隠すのに必死!? 安倍内閣と北朝鮮が抱える時限爆弾

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──今般の選挙で様変わりした日本の政界の勢力図。この変化は、当然諸外国との外交にも影響を与える。先日、ミサイル発射騒動を起こした北朝鮮も、外交上重要な国家の一つだ。これまで北朝鮮と日本の政治家の間には有形無形のパイプが築かれてきたが、強硬派として知られる安倍政権でどう動くのか? ニュースからは見えない、北朝鮮側の期待と不安を探った。

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『どうなる! これからの北朝鮮』(PHP文庫)

 2012年12月16日に投開票された第46回衆議院議員総選挙では、自由民主党が圧倒的多数の議席を獲得し、政権与党の座に返り咲いた。そして、安倍晋三が再度首相に就任し、第二次安倍政権が発足。06年の第一次政権で超強硬な対北朝鮮政策を展開した同氏の再任に対し、北朝鮮政府は「極右政治家」と表現して、さっそく警戒を顕にした。02年に行われた小泉純一郎首相(当時)の電撃的な平壌訪問、そして「日朝平壌宣言」の発表から、はや10年。拉致問題の早期解決を至上命題としてきた安倍氏が政権に返り咲いた今、遅々として進まなかった日朝関係は、どのような展開を見せるのか。

 北朝鮮問題に詳しい政治学者のA氏は、自民党と北朝鮮のパイプはもはや残っていないと指摘する。

「野中広務氏もなく、中井洽氏も昨年引退し、北朝鮮と長年パイプを築いてきたベテラン政治家はいなくなっています。一方で若手は育っていない。拉致問題はじめ、北との関係を主張しても票にはつながらないし、いわゆる北朝鮮利権と呼べるものも、かつてほどはないですから」

 自民党と「北朝鮮利権」といえば、常に指摘されてきたのがゼネコンとの関係だ。自民党が主導して北朝鮮国内での事業を日本のゼネコンに手がけさせ、そのかわりに自民党は安定した票田を得続ける。こうした歪んだ関係が水面下で長らく続いてきたとされるが、今はそれが失われているというわけだ。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNK」東京支局長・髙英起氏もこのように語る。

「そんな中でも民主党が松原仁氏を拉致担当相に起用したのは、ある意味本気を見せたといえる出来事でした。家族会や救う会の不安をうまくなだめつつ実務を行えるのは、長いこと家族会に寄り添ってこの問題に取り組んできた松原氏だけ。ところが民主党政権自体が不安定で中途半端なままで終わり、家族会の中でも落胆の声が大きい」

 かつてはそうではなかった。例えば1980年代、自民党と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は、地方レベルにおいても強い結びつきがあった。

「政権与党しかターゲットにしないのが、北朝鮮の本来のやり方。社会党や共産党はイデオロギー上での同盟関係でしたが、自民党とは実利を絡めた交渉を行い、それが成り立っていました。地元の自民党政治家が在日コリアンの豪商と酒を飲んで人情を交わしながら『○○さんのためなら、やったるわ』などというつながりも少なくなかったのです」(同)

 だが87年に起きた北朝鮮工作員による大韓航空機爆破事件で、実行犯の金賢姫の供述から金の教育係であった「李恩恵」が拉致被害者である可能性が浮上。90年には金丸信元副総理が第18富士山丸問題【83年、日朝間交易船の乗組員が北朝鮮にスパイ容疑で拿捕された事件】の解決などを目的に、旧社会党委員長の田辺誠と共に訪朝。92年まで国交正常化交渉が続けられるも、94年の金日成主席死去後3年間、事実上北の内政、外交、経済の全てが停滞。同時に日本も80年代までの「ゼネコン、公共事業」政治から脱却し、関係性は先細りとなった。朝鮮総連関係者は、こう話す。

「朝鮮学校への助成金申請や施設運営の問題で、総連は自民党と長く交渉を続けてきたし、個人や支部単位では今でも交流があります。そういった点では、安倍政権になって特に変わったことはない。強いて言えば、多少仕事がやりにくくなるだろうな、とは言い合っているようです。民主党政権時はどう動くつもりなのかわからず、こちらも正直どうすればよいのかわからなかった部分もある。対して、安倍政権ではまた我々に対する締め付けがきつくなるのは想定内なので、今は淡々と推移を見守っています」と話す。

 前出のA氏は第二次安倍政権下で、新たなパイプを形成することは難しいと見る。

「対北東アジア強硬派で知られる安倍氏だけに、北朝鮮側は緊張しているはず。それから、もし若手の中にこれから北朝鮮とのパイプを太くしていこうと考えている政治家がいたとしたら、安倍氏の下ではやりにくくなるでしょう。外交において根回しは重要で、近しいポジションにいる人物は作っておくべきだということくらいは、安倍さんもわかってると信じたい。ただ対話重視の方向性は取らないでしょうし、あまり北と近づきすぎると政界内で目をつけられるからと、萎縮するかもしれません」

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