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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第64回

ひとりを殺すための犠牲 失われたアメリカの正義

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『ゼロ・ダーク・サーティ』

CIAの女性分析官・マヤを主人公に、国際的テロ組織の指導者オサマ・ビン・ラディンの捕獲・暗殺作戦を遂行するCIAの姿を描く。自爆テロなどを受けながら、CIAはついにビン・ラディンの居場所を突き止めるのだった。

監督/キャスリン・ビグロー 脚本/マーク・ボール 出演/ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラークほか 日本では2月15日より全国ロードショー予定。


 2011年5月2日深夜、パキスタンのアボッターバードに、米国海軍特殊部隊を載せたヘリコプターが突如飛来した。01年9月11日の同時多発テロ首謀者とされるオサマ・ビン・ラディンを急襲するためだ。作戦決行時刻は軍事用語でゼロ・ダーク・サーティ(午前0時半)。それが本作のタイトルになった。

 監督は、米軍の爆発物処理班を描いた『ハート・ロッカー』(08年)で10年度アカデミー監督賞などを受賞したキャスリン・ビグロー。『ハート・ロッカー』の脚本家マーク・ボールと再び組んで、CIAによるビン・ラディン探索と襲撃を、事件からわずか一年半で映画化した。

『ゼロ・ダーク・サーティ』の主人公はCIAの女性エージェント、マヤ。彼女は、ビン・ラディンの居場所を突きとめた実在の女性CIA局員をモデルにしている。官僚主義や女性蔑視と戦いながら宿敵を追い続けるマヤの姿には、男中心のハリウッドで、リアルで硬派な男性アクション映画だけを撮り続けるビグロー自身が重なってくる。

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