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連載
萱野稔人の"超"現代哲学講座 第27回

中国反日デモは中国政府に対する反体制運動となりうる 反日デモが示す中国社会の危うさ

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──国家とは、権力とは、そして暴力とはなんなのか……気鋭の哲学者・萱野稔人が、知的実践の手法を用いて、世の中の出来事を解説する──。

第27回テーマ「中国反日デモはどこに向かうのか?」

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[今月の副読本]
『新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか』
萱野稔人/NHK出版新書(11年)/777円
善悪二元論で片付けられがちなナショナリズムを正面から論じた、連載著者による「現代思想入門書」。マックス・ウェーバー、ドゥルーズ=ガタリといった現代思想の概念とされる先人たちの論考から、国家の意義を考える。


 先月、日本政府が尖閣諸島を国有化したことに反発して、中国各地で激しい反日デモが起こりました。それをみて「ふざけるな」と熱くなった人も多いのではないでしょうか。私のまわりにも、日本企業の店舗や工場が壊される様子をみて、怒りや不安を感じた人が多くいました。ここではいったん落ち着いて、この反日デモからかいま見える中国社会の危うさについて考えてみましょう。

 いまの中国はしばしば日本の1960年代にたとえられます。つまり高度経済成長期の日本ですね。事実、これまでの中国の経済成長にはすさまじいものがありました。日本のGDP(国内総生産)は68年に西ドイツを抜いて世界第2位になりました。中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になったのは2010年です。まさに日本が60年代に経済大国へと国際的に躍進したのと同じ過程を現代の中国は歩んでいるんですね。

 08年の北京オリンピックと10年の上海万博はまさにそれを象徴するイベントでした。日本で東京オリンピックが開かれたのは64年、大阪万博が開かれたのは70年です。どちらも当時の日本の歩みとぴったりと符合しています。とりわけオリンピックの自国開催は、非欧米諸国にとっては「いっぱしの国として国際的に認められる」というひじょうに重要な意味をもっています(だからこそ88年に韓国でソウルオリンピックが開催されたとき、北朝鮮政府はその直前に大韓航空機の爆破事件を起こしてオリンピック開催を妨害しようとしたのです)。敗戦国の日本にとって、東京オリンピックの開催は日本が戦後世界における先進国の一員として認められたことを意味しました。同じように、北京オリンピックの開催は中国にとって、世界資本主義の主要メンバーとして先進国から迎え入れられるほど経済成長を達成した、ということを意味しているのです。

 では、ここで質問です。いまの中国はこのように日本の60年代と大きく重なるのですが、逆に日本と似ていないのはどこでしょうか。つまり、60年代の日本にあって、いまの中国にないものとは何でしょうか。

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