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東京スカイツリー、ショッピングモール、商店街……話題の本の著者たちが語る

中川大地×速水健朗×新雅史 スカイツリーから見る、現在の消費・観光・街づくり

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『都市と消費とディズニーの夢』(角川書店)

 本誌ではおなじみのライター・速水健朗氏の新書『都市と消費とディズニーの夢 ショッピングモーライゼーションの時代』(角川ワンテーマ新書)が発売された。この本は、ショッピングモールについて考える本でありながら、同時に都市を論じる本でもある。一方で、5月に刊行されたライター・中川大地氏の『東京スカイツリー論』、社会学者・新雅史氏の『商店街はなぜ滅びるのか』(共に光文社新書)も、それぞれやはり街について論じた書だ。そこで3人に、今の日本で「都市」を再生させるために必要な視点とは何かを、「消費」をキーワードに徹底討論してもらった。

中川 現在の日本の都市や地域社会の問題を考える上で、「商店街」と「ショッピングモール」の話題は頻繁に取り沙汰されるテーマになっています。両者は相反する存在と捉えられ、郊外で発展した超近代的なモールが徐々に都心部に侵食し、古き良き商店街を衰退させてシャッター街化したり、地域社会の伝統を崩壊させる元凶のように語られることもある。

 今年5月に、僕の地元の墨田区に「東京スカイツリー」ができましたが、高さやデザイン云々よりも、むしろこのタワーの決定的な特徴は312店舗という東京最大級のテナント数を有する商業施設「東京ソラマチ」を付帯すること。東京の東端に近い、そこそこ古くて静かな下町に、突然巨大ショッピングモールが現れた。これが周辺の商店街を始め、地元の生活圏にどんな功罪をもたらすのかが大きく懸念されているわけです。まさに現代的な都市の変容の縮図が刻まれていると思い、『東京スカイツリー論』という本を書きました。

 なので、今日は商店街とショッピングモールのそれぞれの成立過程や問題に深く迫る著作を上梓されたお2人に、地元民としてどう今後を展望すればいいのかお知恵を拝借できればな、と。

速水 新さんは、スカイツリーのソラマチ行きました?

 まだ行ってないんですよ。

速水 そうなんですか。あれは一応、「ソラマチ商店街」というネーミングがあるように、“商店街のテーマパーク”なんですよね。意図的に、チェーン店ではなくて、本来商店街に入ってるようなお店をテナントに入れてるんですよ。従来のディベロッパーとは違うことをやっている。

 僕は『都市と消費とディズニーの夢』の中で、「市場原理に晒されていない商店街はなくなってもやむなし」と書いてます。ショッピングモール派なんですね。新さんとは明確に対立します。今後商店街が復活する方法があるなら、ショッピングモールの手法でやるべきだ、ということでもある。でも、ソラマチはまさに、商店街をテーマパーク化して、ショッピングモールとして再生させようという試み。両者の共存なわけですけど、果たしてあれは商店街なのかどうか、という新さんの判断を聞いてみたいと思ってたんですよ。

中川 先行例として「アクアシティお台場」内の「台場一丁目商店街」で、昭和30年代の商店街のイメージをノスタルジックに戯画化したモールもあるわけですが、新さんの『商店街はなぜ滅びるのか』では、そもそも商店街そのものが歴史的に見れば実はかなり新しいと規定されている。

 はい。日本全国の多くの商店街は、20世紀前半の日本の近代化に伴って出来上がってきたものです。国家が近代化する大きな要因として、農民層が大量に都市に出てくるという人口の移動があります。日本でも同じことが起き、そこで都市流入者の多くが、零細自営業に従事するようになりました。その中で小売業を選び、行商や屋台をやる人が多く出てくるのですが、彼らの貧困化を避け、これ以上そうした零細小売業者を増やさないために、そういった人たちが組織化されていった。それが商店街の誕生に繋がっていったわけです。つまり、「日本社会の原風景」と呼ばれるようなものが、実は人工的に作り上げられたものだ、というのは僕の本の主張のポイントでした。

速水 新さんは商店街の理念と歴史を示し、「それを知った上で文句言ってんのか」と啖呵を切っているわけですが、僕の本ではショッピングモールの理念と歴史を示して、同様の啖呵を切っています。『商店街はなぜ滅びるのか』で、商店街は「横の百貨店」を目指すことで発達したと書かれてましたね。ショッピングモールも百貨店から、公共性や祝祭性の“いいとこ取り”をしているところがあり、実は商店街とショッピングモールの理念は近い部分がある。

 今は、人口が縮減し、国土交通省の「空家実態調査」などで明らかになっているように、東京の郊外もすでに空き家が大量に発生しつつあり、もう一回集住をやり直さないといけない状況にある。都市には死蔵化されたストックというか“見えない”空間があり、それをいかに可視化し、かつ流通していくかが課題になっていると思うんですね。速水さんの本に書かれているのもそういう話だと感じました。例えばショッピングモールも、死蔵化された都市空間を再活性化させるために出てきた方法論だと指摘されてますよね。そしてモールは、単に消費する空間だけではなくて、サービスや遊びの機能を入れて多機能な空間にしていこうというプロジェクトでもある。ショッピングモールという試みに限りませんが、今の都市で求められているのは、死蔵化された空間をいかに再活性化させていくか。そして、その空間をいかに多機能なものにしていくか。そのための知恵や言葉が必要とされているように思います。

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