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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第58回

ゲイと未亡人の愛憎劇?信じるはローカルな正義

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『バーニー』

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テキサス州の田舎町にある葬儀屋で働くバーニーは、人当たりがよく、地元の人々から愛される好人物。そんな彼が、地元一の嫌われ者である未亡人と付き合い始めるも、後日彼女は死体で発見される──。

監督/リチャード・リンクレイター 出演/ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒーほか 日本での公開は未定


 テキサス州カーセイジは人口6800人。住民の多くが白人の中産階級の高齢者で、日曜日には誰もが教会に集まる静かな田舎町だ。「アメリカの最も住みやすい町」にランキングされたこともある。

 カーセイジの葬儀屋で働くバーニー・ティード(38歳)は、町一番の人気者だった。いつも笑顔で、葬儀や教会で、朗々と讃美歌を歌い、神への愛を語る。地元の劇団のスターとしてブロードウェイ・ミュージカルを踊る。老人や子どもにも優しい。

「バーニーは本当にスイート(人好きのする人物)よ」

 映画『バーニー』は劇映画だが、まるでドキュメンタリーのように、カーセイジの老人たちがバーニーの人柄を讃える。

 人気者バーニーを演じるのは、『スクール・オブ・ロック』で小学生に無理やりロックを教えるニセ教師が当たり役だったジャック・ブラック。監督も『スクール・オブ・ロック』のリチャード・リンクレイター。このコンビだから『バーニー』もコメディだ。1996年に実際に起こった殺人事件についての。

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