サイゾーpremium  > 特集  > スポーツ  > ロンドン五輪の【スポーツメーカー】事情

──スポーツ器具と五輪といえば、前回の北京五輪では、スピード社の開発した高速水着「レーザー・レーサー」の採用をめぐって、日本選手団と協会がもめた事件が話題になった。今大会の注目点はどこだろうか?

1208_gijyutu02.jpg
『化学』(化学同人)

 特集【1】では大会運営に関する各メーカーの事情を紹介してきたが、やはり五輪の主役は競技者そのもの。本稿では、より直接的に彼らを支援し、大会を盛り上げるのに一役買う、スポーツ器具メーカー側の事情を探ってみたい。

 まず2008年の北京大会と今大会を比較した場合に、必ず話題に上がるのが競泳水着に関する規定だ。北京大会では、イタリア・スピード社が開発した、全身無縫製の高速水着「レーザー・レーサー」が話題になったのが記憶に残る。日本国内では、日本水泳連盟がアシックス、ミズノ、デサントの3社と水着に関する契約を結んでいるため、3社以外の水着を着用することは許可できないとされ、これに選手が反発。北島康介が「泳ぐのは僕だ」と書いたTシャツを着用するパフォーマンスなどを行い、結果、水連側は北京大会に限って3社以外の水着の着用を許可した。この水着の効果で、北京五輪では世界記録・五輪記録が相次いで更新された。そして翌09年は今度はラバー素材の高速水着が競泳界を席巻する。この新素材を開発したのは、大阪にある化学企業・山本化学工業だった。同社が生産したバイオラバースイム マークⅡをイタリア・アリーナ社などが導入し、同年の世界水泳選手権大会では再び新記録の樹立が相次いだ。こうした事態を受けて世界水連は10年から水着素材を布のみに制限するルールを敷き、高速水着は事実上使用できなくなった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2018年12月号

"異能作家"たちが語る「文学、新宿、朗読」論