>   >   > 五輪選手に取り入る【芸能プロ】の旨み
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『中田英寿 鼓動』(幻冬舎文庫)

 数年来、日本のスポーツビジネス界においては、アスリートのマネジメントを行う事務所の存在が取りざたされている。1990年代前半から少しずつ始まったこの動きは、00年代中盤、PR会社サニーサイドアップがサッカー日本代表(当時)の中田英寿の売り出しに成功して以降、大きく加速した。98年のフランスワールドカップで活躍し注目度が高まっていた中田を、CM出演などを通じてよりメジャーなキャラクターにし、海外クラブへの移籍話をとりまとめるのにも一役買ったサニーサイドアップの手腕は、「金儲け至上主義」というような批判も多く飛び出したが、選手個人あるいは所属チームではできないようなマネジメントを取り入れることで、個人の価値を高める重要性を感じさせた。

 アスリートが所属する事務所のタイプを大別すると、現役選手と引退した元選手を専門で手がけるスポーツ系マネジメント事務所と、サニーサイドアップや共同PRのようなPR会社、そしてホリプロ・吉本興業といった老舗芸能プロの3種類に分けられ、大小さまざまな事務所がひしめきあい、毎年さまざまな選手を獲得している。プロ野球選手やJリーガーと違い、基本的にはアマチュアがほとんどである五輪選手はもともと実業団や社会人チームに所属しているため、マネジメント事務所と契約を結んでいる選手は決して多数派ではないが、知名度の高い選手となれば話は別だ。ロンドン五輪出場予定の選手のうち、注目が集まる選手の所属状況を見てみよう。男子テニスの錦織圭と卓球女子の石川佳純は、アメリカに本社を構える世界的スポーツマネジメントエージェントであるIMGと契約を結ぶ。バドミントン男女ペアで潮田玲子とコンビを組むイケメンプレイヤー・池田信太郎は、前田健太(広島東洋カープ)やハンドボールの宮﨑大輔らが在籍するスポーツ系事務所・ベンヌに所属。なでしこジャパンで合コン騒動を巻き起こしたことのある熊谷紗季と、同じくなでしこジャパンの大儀見優李(旧姓・永里)も、ベンヌと業務提携を行っている。そのほか、メディア人気の高い女子バレーボールの代表においても、狩野舞子と竹下佳江の2人が、上村愛子や荻原健司らが所属するスポーツビズと契約を結んでいる。

 芸能プロ勢は少なく、ホリプロからなでしこジャパンの丸山桂里奈のみ。吉本興業が典型的な例だが、芸能系事務所に所属している現役アスリートは、野球選手とゴルフ選手が多いのが特徴だ。それゆえ今大会ではあまり存在感を示せていない。なお、サニーサイドアップは、陸上の為末大が予選敗退したことから今回はゼロ。本大会も出場予定の北島康介とは、かつて蜜月を過ごした時期もあったが、すでに契約を終了している。

 こうした契約を結んでいる選手は、その他国際大会やこれまでの五輪で結果を残してきているトッププレイヤーだ。アスリートの価値をもっとも高めるものは競技における成績。マネジメントを行う側も「タレント性や本人の志向も重要ですが、そりゃあ契約するなら成績が良い選手がいいですよ。こちらもビジネスでやっているのですから、いくらルックスが良くたって、本業で結果を出せる人物でなければ飼い殺しのような状態になってしまう」(スポーツ関連も手がける芸能プロマネージャー)と言う。つまり今大会でも新たに功績を残す選手が誕生すれば、事務所による争奪戦が繰り広げられる可能性があるわけだ。

「芸能系のプロダクションが食指を動かしているのは、体操女子の田中理恵と、男子レスリング74キロ級の高谷惣亮あたりですね。どちらも美女・イケメンです。高谷は名門ALSOKの所属ですが、やや長めの髪の毛が特徴的な、レスリング選手には珍しいタイプ。そうしたルックスから、一部では”タックル王子”なんてあだ名がつけられています。70キロ超級では10年以上メダルの獲得がないだけに、期待がかかっています。拓殖大学出身で、主将として同大監督の須藤元気の元にいましたから、案外、彼の個人事務所に所属することもあり得るかもしれませんね。

 田中についてはすでに複数の事務所が水面下で動いているようです。24歳という年齢やここ数年はケガに悩まされ続けていることもあり、メダル獲得はかなり厳しいでしょう。年齢的には、今大会が終われば引退することも考えられます。そうなると、体操選手にしては痩せすぎていない肉感的なプロポーションに整った顔立ちで、キャスターやタレントとしての需要は高いはず。CMも舞い込むでしょうが、メダルがあるとないとではギャラが1000万円以上異なることもありますから、将来芸能活動をするつもりであれば、メダル獲得は必須ですが……」(前出・芸能マネージャー)

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