>   >   > 【五輪音楽】で読み解くテレビ局の力関係
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今年のフジテレビの五輪テーマソングとなっているSuperfly&トータス松本の『STARS』(左)。ほかにも、04年には、NHKの主に五輪のテーマソングをまとめた『NHKスポーツ・テーマ ベスト・コレクション』(右)といったCDも発売されている。

──2004年のアテネ夏季五輪、男子体操団体。日本の体操男子のエースであった冨田洋之が、鉄棒で着地を決めた瞬間の「伸身の新月面が描く放物線は、“栄光への架け橋”だ!」というNHKアナウンサー刈屋富士雄の名調子は、多くの日本国民の記憶に残っているところだろう。ここで叫ばれた“栄光の架け橋”とはもちろん、アテネ五輪のNHK公式テーマソングであるゆずの『栄光の架橋』を踏まえた一言である。当時、セールス的に下降気味だったゆずは、この1曲で国民的人気と知名度を得て息を吹き返すこととなった。

 開催が近づくにつれ、大々的に発表される各テレビ局の五輪テーマソング。各局メインキャスターの発表と併せて、注目している向きも多いのではないだろうか。先のゆずの例を見る通り、テレビ局の五輪テーマソングを歌うということは、アーティストにとってヒットする可能性が上がる願ってもないチャンスだ。

 芸能リポーターの城下尊之氏も「五輪のテーマソングを歌うアーティストやキャスターに抜擢されることは、イメージも良く、事務所としてはオファーがきたらぜひやりたいと考えているはず。必然的にテレビ露出も多くなりますからね。それは事務所やレコード会社側にとっても、メリットとなるので、起用に当たって、テレビ局側がタイアップ曲としてアーティストに特別なギャランティーを支払うことはない」と、五輪番組をめぐるキャスティングのうまみについて語る。それではこれらのキャスティングはどのように決まっていくのか? 関係者の言や現在までのキャスティングを糸口に検証していきたい。

 そもそも各テレビ局が五輪番組のテーマソングとキャスターに力を入れ始めたのは、96年のアトランタ五輪から。それ以前の五輪のキャスティング絡みの話題というと、JOCの公式テーマソングとして光GENJIが起用されていたということぐらいで、テーマソングとキャスター共に各局個性を出さない地味なキャスティングだったが、こうした既存の路線を転向させる出来事が起きる。NHKのテーマソングであった大黒摩季の『熱くなれ』が83万枚を売り上げるヒットを記録したのだ。

「それまでレコード会社の中では、スポーツ中継のタイアップに力を入れるという意識はあまりありませんでした。そんな時に、大黒摩季やB'z、ZARDを擁して人気のピークを迎えていたレコード会社ビーイングが、NHKと組んでヒットを作り出した。それも当時ほぼテレビ露出が無かった大黒摩季をスポーツ番組に出演させるなど、局を挙げてのプロモーションでヒットにつながったことは、その後のテーマソングタイアップの流れに大きな影響を与えたと思います」(レコード会社関係者A氏)

 そして迎えた2年後の98年、長野五輪。国内での五輪開催ということもあり日本中がお祭りムードで盛り上がる中、テレビ局各局はタレントをメインキャスターに配置し、局ごとにテーマソングを設け、本格的にエンタメ色を強めていった。この流れを受けて、五輪中継はショウアップ化が進み、今では各テレビ局のスポーツ局はもちろん、編成部、さらには情報、バラエティなどの制作部まで、さまざまな部署が五輪中継のために総出で動いている。となると当然、宣伝塔となるキャスティングには、各テレビ局内の派閥と芸能事務所、レコード会社の利害が複雑に絡み合ってくる。その中でも、キャスティングに影響力がある勢力を順に追って見ていこう。

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