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第1特集
2010年話題の賢人がセレクトするタブー破りの本300冊【1】

批評家・佐々木敦が選ぶ3冊 エイズで亡くなった"幻のアーティスト"伝記

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──批評家による禁断のアーティスト本、大宅賞作家が選んだ禁忌な一冊、さらには、ネット発のカリスマバンドメンバーから人気グラビアアイドルまで、今年の賢人たちが選んだヤバい本を一気にレビュー!

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佐々木 敦(ささき・あつし) 
64年、愛知県生まれ。批評家、HEADZ主宰。雑誌「エクス・ポ」、「ヒアホン」編集人。新聞、雑誌で文芸批評を行うほか、早稲田大学、武蔵野美術大学の非常勤講師を務める。近著に『ニッポンの思想』(講談社現代新書)、『文学拡張マニュアル ゼロ年代を超えるためのブックガイド』(青土社)など。

■モンドマンガ的遅咲きの異才、音楽の鬼才、哲学の異端が面白い

 今回選んだ3冊は、それぞれに違った意味でヤバい本です。

 1冊目は『洞窟ゲーム』【1】というマンガで、作者は「月刊漫画ガロ」の後継である「アックス」(共に青林工藝舎)で活躍中のまどの一哉。マンガはよく読むほうではないのですが、書店でたまたま見つけて、編集者・マンガ原作者の竹熊健太郎さんとSF作家の北野勇作さんが帯で褒めていたことから手に取りました。

 ポイントは、まず作者が76年にデビューしており、34年目にして初の単行本であること。それゆえ、絵柄がまったく今風ではなく、劇画とマンガが区別できていなかった当時を偲ばせます。また内容的には、良い意味で精緻に構築されたSFとは異なり、どこか投げやりなところにヤバさがあります。

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