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ここでも揺れた検察の地位──

気鋭の法学者・河合幹雄が語る「東電OL事件 DNA再鑑定 その裏にキケンな思惑」

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 1997年に東京電力の女性社員が殺害された、いわゆる「東電OL殺人事件」。その再審請求審で、11年7月、被害者の体内から採取した精液を鑑定した結果、一貫して無罪を主張しながら03年に無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者のものとは異なるDNA型が検出され、さらに殺害現場に残された同受刑者のものではない体毛のDNA型と一致したことが明らかにされた。

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事件現場となったアパートのすぐ近くにあるラブホテル街。

 当初から冤罪の可能性を指摘されていたこの事件、新事実の判明によって確定判決が覆される可能性が出てきたわけだが、なぜ有罪判決の確定から約8年も経過した今、DNA鑑定が突如として行われたのだろうか? その背景にある警察や検察の思惑などについて、犯罪情勢や警察・検察の内部事情に詳しい、桐蔭横浜大学法学部教授の河合幹雄氏に話を聞いた。

──まず、先生はこの事件とその後の裁判の経過をどう見ていましたか?

河合幹雄(以下、) 被告人が犯人であるという確たる証拠がない場合、たとえどれだけ怪しくても、「疑わしきは被告人の利益に」という推定無罪の原則によって、被告人は無罪となります。この事件はその典型ですから、一審の無罪判決は妥当だと思いました。

 ところが、二審で無期懲役の判決が下されてしまった。私を含め、司法に携わる者の多くは、決定的な証拠がないにもかかわらず、検察がかなりの無理筋を通して一審判決を覆そうとし、裁判官もそれに付き合ってしまったという見解を持ったと思います。

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