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第1特集
マンガ家のサンクチュアリ『ワンピース』研究【2】

マンガ最大のタブー『ワンピース』──誰も語らないヒットの真相【後編】

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長大なスケールゆえに作品を捉える尺度がない

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集英社『ワンピース 表紙ジャックキャンペーン』の一例。同キャンペーンでは、これらのようなファッション誌だけでなく、「小説すばる」など小説誌でも展開。清川あさみといしいしんじによるコラボ作品が掲載された。

 なるほど、確かに『ワンピース』が巻き起こしている社会現象についての検証記事は、「日経エンタテインメント!」など、多少なりともあるものの、作品それ自体を批評するものは少ない。部分的な評論で見ていけば、例えば、『クローズアップ現代』で、甲南女子大学教授の馬場伸彦氏は「ネット社会によるつながりの希薄化や、超就職氷河期に対する絶望感を抱えている現代において、『ワンピース』の登場人物たちが、それぞれ挫折やトラウマを抱えつつ、自己肯定を取り戻していく姿に共感を覚えるのでは」と分析。日本のマンガを多数翻訳する在日イタリア人のスタンザーニ詩文奈氏は、海外では『ワンピース』がそれほどヒットしているわけではない、と説明した上で、「個人主義の強い西洋では、仲間との友情よりも『NARUTO』や『BLEACH』(共に集英社)のような個人の成長が中心のストーリーのほうが海外ではウケ易い」と語り、また「"海賊"という日本人にとってエキゾチックな設定を用い、任侠映画的な"泣かせ"をいれこんだ作品」と指摘している。

 さらに本誌10年11月号において、ライターの菊池俊輔氏は、大塚英志の語る「傷つかない身体」(キャラクターが致命的な事故や暴力にさらされても、次のコマでは何事もなかったように話が進展しているという、ギャグマンガなどに見られる表現方法)を例に、エースのように死ぬ「傷つく身体」と、イワンコフのような「傷つかない身体」を持ったキャラが、混在している点に注目。「古今のマンガ表現を網羅した『総合マンガ』である」と評している。

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