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部落関連の本にはリスクがつきまとう

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和賀正樹氏。(写真/佃 大平)

村崎 私が被差別部落出身であることをカミングアウトした『太郎が恋をする頃までには…』【註10】を出すときに、版元である幻冬舎の見城徹社長に、思い出たっぷりに1時間、中上健次【註11】の話をされました。お2人は、やっぱり中上健次に影響を受けていますか?

和賀 中上さんの義理のいとこの田畑稔さん【註12】には、心酔しています。前科2犯。堤防は壊すわ、市役所の前にバキュームカーを放置するわ、霊柩車をマイカーにするわ、元殺人犯も構わず雇っていた。前歴、性癖、一切不問。稔さんの包摂力には頭が下がります。

上原 僕は、実はそんなに読んでない(笑)。ただ、中上健次の"路地"という言葉が、発展というか、進展していないというか、埋もれてしまうのは文学的にも社会的にもおかしいと思ったんです。中上健次が伝説化されて終わっている。だからノンフィクションで "路地"という言葉を使えば、それだけで進展になると思った。僕は同和問題や被差別部落だけではなく、ただ、自由にものが言える社会になってほしいだけです。例えそれが差別する言葉であっても口に出してほしいし、それが問題であれば、紙面なり口頭なりで議論していけばいい。だけど、そうなっていないですよね。村崎さんもメディアにまだ部落問題に対する反発があると感じられていますか?

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