サイゾーpremium  > 連載  > CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評  > 「ファスト風土」の負の側面を異様な迫力で...
連載
CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評第3回──MOVIE編【2】

「ファスト風土」の負の側面を異様な迫力で描く『悪人』!

+お気に入りに追加

2010年9月号 MOVIEクロスレビュー

■『ダークナイト』監督最新作

1009_inception.jpg

『インセプション』
監督・脚本/クリストファー・ノーラン
出演/レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙ほか
配給/ワーナー・ブラザース 公開/7月23日

人の睡眠中に夢に侵入し、その人間のアイディアを盗む産業スパイ・コブ(レオナルド・ディカプリオ)。妻殺しの嫌疑をかけられて指名手配犯となった彼は、さる企業のトップ(渡辺謙)から、ライバル企業の社長子息への洗脳の依頼を受ける。『ダークナイト』の監督が描くSFアクション。

【批評家・宇野評】
★★★★★★★★★☆
進化するノーランの世界
『メメント』以降ノーランが執拗に描き続けてきた「無限のメタゲームの臨界点に、一切の価値が並列になるフラットな世界が出現する」という感覚を、徹底的にコントロールされた脚本と画面設計でSF風のアクション劇として構築した傑作。『ダークナイト』が現代社会の直接的な縮図なら、本作は、その背景の個人の記憶(トラウマ)が生を支える根拠として機能しなくなる構造を、身体感覚として徹底追求することでほとんど想像力の臨界点に肉薄している。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2024年5月号

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ