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第2特集
行列ラーメン店、人気のカラクリ【2】

その信憑性はいかに? ラーメン本の裏側

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毎年、年間20冊以上のラーメン本が発行されている。情報誌でも特集が多数組まれるのは、「ラーメン」というテーマだけで売れるからなのだとか。

──日夜、テレビや雑誌などのマスコミで取り上げられているラーメン。ラーメンブームの発端は、そういったメディア戦略による力も多大だ。しかし、そのラーメンに関する情報は、本当に正当なものなのだろうか? メディアとフリークたちの思惑を探った──。

B 流行や話題店の情報は、ブロガーさんにかなり助けられてます。各地域に新店がオープンすると必ず食べに行くような熱心な人がいて。雑誌掲載のためのリストアップは、そういったブロガーの意見と携帯サイト「らーナビ(超らーめんナビ)」を参考に、ある程度絞り込んで食べに行って、リサーチするんです。

A スープはブレがあるから、本当は何回か通ってから掲載を検討すべきなんだろうけど......新店が次々にできる中、同じ店に何回も通うのは物理的に無理だよ。

C そういえば、ラーメン評論家の石神秀幸氏がふらりとある有名店に行ったとき、たまたまスープの出来が悪かったそうで、それ以来その店は彼の本には掲載されなくなったらしいよ。

A 石神氏といえば、「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載していた「ラーメン鑑定団」には泣かされたな。あのページに出るお店は、掲載誌が発売するまで他の媒体には出ないという誓約書を書かされるとか。

C それは厳しいね。ところで、石神氏が批評するとき、ラーメンを一口しか食べないって本当?

B そういうこともあるらしいね。何度も食べてるからこそ、できることだけど。

C 中には実際に食べずに、他の雑誌を見て文章を書いたような本も多いよね。某女性情報誌も「素材を厳選している」「やみつきになる人も多い」とか、どの店にも共通していえるような無難なフレーズばかり。たぶん食べてないんだよ。

A 「あっさりしてるけど、コクがある」とかも、文字数調整によく使われるフレーズ。考えてみたら意味わからん(笑)。

C 本気で味を書くなら、先に覆面で行って食べて、取材時は食べないほうがいい。店主の話を聞いて撮影するだけにしないと。撮影中に麺は伸びて味も変わっちゃうし、1日3〜4軒は回るから、時間や胃の容量的にも無理だよ。

B 本当はそうやって、自分が食べておいしいと思った店を取り上げたいけど、情報誌系ではアクセスがいいこともウリになる。郊外の名店より、新宿や池袋の手頃な店を取り上げざるを得ないよね。

C それとよくあるのが、記事風に作ったタイアップ広告。詳しい人なら「なぜここが紹介されてるんだろう」って気づくけど、一般の人から見たらわからない。

B 店主が自分で原稿をつくってファクスしてくることもあるよね。「ぜひお越しください!」なんて書いて。そんなの使えないから丁重にお断りしますけど。

A 「○○が出るなら出ない」「ランキングも1位じゃないといや」と要望を言ってくる店主もいる。あと、「監修しているラーメン評論家のスタンスが気に喰わないから出ない」とか。

B「中華蕎麦 とみ田」(千葉・松戸)は、フードジャーナリストの山路力也氏の取材は拒否だよ。アポ取りとか、取材中の態度とかでいろいろあったみたい。

A いちばんやりにくいのは、ある店を取材した後に、別の店から「うちには来ないの?」って電話がすぐ来ること。

B そうそう、店主同士横のつながりは強いところもあるよね。ライバルというより仲間意識のほうが強いのかも。

C とはいえ僕らも、こんな話をするのはラーメンを愛するがゆえ。僕たちも店主とうまく付き合って、一緒に盛り上げていきたいね。

(文/安楽由紀子、秀也)

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