
ある芸人の赤裸裸笑(小)説「ニューヨーク戦記」第6回
<前回までのあらすじ>コメディと英語を学ぶため、単身ニューヨークへ修行に来た芸人・中牟田は、ついにコメディクラブ出演を果たし、しかも大受けするという、幸先の良すぎるスタートを切った。
日本でのスキャンダルはいまだくすぶっていたが、そんなことよりアメリカでコメディをやるのに夢中になった彼は、ハーレムのクラブに出演しないかという黒人の友人からの誘いに、何も考えずに乗ったのだった。
マンハッタンのハーレムというところは、住人のほとんどが黒人で、他人種には立ち入れない空気感とノリが支配する場所だ。中牟田はその地に、コメディクラスで知り合った黒人に誘われて出向くこととなった。彼、Smokyに電話で詳細を聞くも、ニューヨークの黒人アクセントが強すぎて何を言っているのか聴き取れず、語学学校の先生に電話を代わり、通訳してもらいながら話の要領を得なければならなかった。英語を英語で通訳してもらう――黒人英語を教科書英語に、2pacのライムをEXILEのお手軽英語にする作業である。こんなことをしなければ、行く先と依頼内容も判別できないのだ。いくらアメリカ人にネタがウケたとはいえ、前途多難である。
長井秀和の「ニューヨーク戦記」
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長井秀和(ながい・ひでかず)
お笑い芸人。07年9月、突如およそ1年間に及ぶニューヨーク武者修行へ。現地にて「ガチで笑いの取れる、数少ない日本人」との高い評価を得て帰ってくる一方で、私生活では女性問題が原因となって嫁に逃げられ、世間様から「ダメ人間」のレッテルを貼られる。
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