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第1特集
もはや"裏"の時代は終わった!! 無修整AV大国ニッポンの実態【2】

ガサが入れば一巻の終わり? 裏ビデオ販売店員のトホホな日常

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──まるで蜃気楼のように、街中に現れては消える裏ビデオの販売店。店舗に配属された店員さんは苦労が絶えない様で……。

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繁華街の路地裏で、怪しく光る裏ビデオ販売店の看板。

 かつて"裏ビデオ"と呼ばれる、無修整のエロビデオやDVDを手に入れるには、繁華街にある裏ビデオ販売店で購入する方法が主流だったが、近年ではインターネットの発達により、海外のサーバから直接動画を購入したり、「Winny」などのP2Pを使い違法にダウンロードをして、手軽に無修整動画を取得・閲覧することが可能となっている。ただ、裏ビデオ販売店が完全になくなったわけではない。いまでは40代~50代くらいで、ネットが不得意だったり、カード番号などの個人情報を入力したくないという人が主な客層なんだとか。もちろん無修整ビデオの取り扱い店は、日本の法律では完全に違法。そのため、警察の捜査が入るたびに店舗は閉鎖されるのだが、少ししてほとぼりが冷めると、また近所に店舗が出現するという状態が繰り返されている。そんないたちごっこの中で、裏ビデオ販売店の店員は、客にはカラまれるし、警察には追われるし……と、かなり大変なんだとか。そこで、都内某所にある店舗に赴き、店員に話を聞いてみた!

──さっそくですけど、裏ビデオ販売店の店員って、どうやったらなれるんですか? 誰でもなれるのでしょうか?

「誰でもなれますよ。スポーツ新聞の求人欄に募集広告が載っていて、僕もそこに応募しましたから。面接に行ったら結構な人数がいたから、競争率はわりと高いんじゃないかなと思いますね。給料は、完全に日払い制。明日何があるかわからないってところもあると思います。ウチの場合は、基本給が1万4000円で、それプラス販売本数で支払われます。でも拘束時間は長いし、休みも全然ない。その上、いつもパクられることにおびえてますからね……。決して割がいい仕事ではないとは思います」

──過酷なんですね。やっぱりオーナーさんは、ヤ○ザさんで怖いんですか? 無理な販売数を押し付けられたりとか。どんな組織なんですか?

「いや、オーナーはアダルト系の制作子会社を経営してます。もちろん繁華街に店舗があるので、みかじめ料(暴力団が店舗から徴収する場所代)は払いますし、関係は深いとは思いますけど。売り上げさえちゃんとあげていれば何も言われません。店に居るのは、僕みたいな店長兼販売員だけです。あとは商品のネタなどを運んでくる"かばんや"とかですね」

──裏ビデオの店舗で働いていて、何かメリットはあるんでしょうか?

「あんまり……いいことはないですね。あえていえば、その日の売り上げがよければ、その分給料が歩合で高くなることと、あと無修整ビデオが見放題ってことくらいでしょうか。客さえいなければ、仕事中も見放題なんで。でもむしろつらいことのほうが多いですよ。例えば客はたいてい、飲んだ帰りにフラッと寄ったっていう感じで。2時間くらいかけて選んでて、散々『内容を教えろ』とかあれこれ聞いてきた揚げ句に買わないで帰るとか!閉店間際にそれをやられると、かなり疲れます。あと、『割引しろ』、『おまけしろ』ってすごく食い下がってきて。本当に腹が立つんですけど、こっちは我慢しなきゃいけないから黙ってると余計につけ上がってきて、『割引しないと、警察に通報するぞ』と言ってくるとか、細かいストレスも結構ありますね」

──聞くところによると、店員さんも実際に一度逮捕されたんですよね。その時は、どんな状況だったんですか?

「自分が捕まったときは、まず裏の裏ビデオ店にガサが入ってて、その情報がうちにも入ってゲラゲラ笑ってたんですよ。そしたらそのままこっちにもガサが入って(苦笑)。しかもその日は、ちょうど自分の誕生日だったんで……。もう情けなくて、さっきまで笑ってた自分を、あれほど呪ったことはありませんでした(涙)。情報が入った時点で店を閉めてしまえば、なんとかなったかもしれないですよね。結局わいせつ物頒布罪で懲役1年6カ月、執行猶予4年の判決が下りました。次に捕まったらもう実刑ですからね、シャレになりませんよ……」

──確かに笑えません!見張りからの連絡で逃げたりはできないんですか?

「もちろん見張りもいますけど、基本的には逃げることはできないんですよ。逆に、捕まったら弁護士をつけてくれるとか契約のときにちゃんと盛り込まれていて。というわけで、捕まることも含めて仕事みたいなところもあるんですね。でも、知り合いの店員はガサが入ったときに気が動転して、普通だったら絶対人が抜けられないような、トイレの小さい窓から逃げ出たんです。でもありえない姿勢で窓をくぐり抜けたもんだから肩は脱臼するし、しかも結局捕まるしで、散々だったって話もありますね」

──逮捕が前提……壮絶ですね。辞めないんですか? それとも辞められないんですか?

「確かにオーナーはコワモテですけど、一応カタギだし、辞められないこともないと思いますけどね。なんだかんだ言っても楽だし、いまのところ具体的には考えてないです。まあいつまでも続けられる仕事ではないと思ってるんで、いつかは辞めたいですけどね」
(文・山田 隆)


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