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第1特集
ヤンキーでもホストでもない!

ちまたで話題のオラオラ系 イカつい彼らは一体何者!?

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右からBLACKFOX、DJ ACE、DJ YAGI。(撮影/水野嘉之)

 髪を短く刈り上げ、定番スタイルはジャージのセットアップ。クロム・ハーツやゴローズなどの武骨なアクセを首から下げ、セカンドバッグをブラ下げるその腕には、日サロで焼いた肌に黒々とした和彫りが映える──。そんなイカついファッションの若者たちが、爆発的に増殖している。ヤンキーでもギャル男でも、ましてや"お兄系"でもない彼らの正体とは!?

「彼らは"オラオラ系"と呼ばれる若者たちです。20代後半以下の、刺青を入れたヤンチャな男の子が多く、新しい世代の不良スタイルと言えますね」

 そう答えてくれたのは今年3月、彼らをフィーチャーした雑誌「SOUL Japan」(大洋図書)を創刊した木村編集長。コワモテな若者たちが誌面を飾り、不況続きの雑誌業界で部数を着実に伸ばしている。

「創刊時から『こんな雑誌を待ってました!』という反響がすごくて、編集部としても驚いています。渋谷発のカルチャーですが、ブームは全国的に広まってると言えますね」

 木村氏によると"オラオラ"とは、客に媚びないホストの「オラオラ営業」が語源だそう。短髪にジャージというスタイルが確立されたのは2年ほど前からで、当初はドルガバやクロム・ハーツのウェアなどインポートブランドを好んでいたが、昨年から同世代の手によるドメスティックブランドも台頭。若者たちから圧倒的な支持を得ている。

 黒い肌に本職顔負けの和彫りを施す彼らは、どんな内面を持ってるのか?オラオラシーンを牽引するカリスマブランド・RebeL代表、BLACKFOXは言う。

MEMO『オラオラ系』
「悪羅悪羅系」とも表記。「SOUL Japan」創刊前は、「MEN'S KNUCKLE」や「egg」などがそのスタイルを提唱していた。

「オラオラ系って、アンダーグラウンドなクラブから生まれてきたスタイルなんです。チャラチャラしてない強い男ってのが基本で、しかもそこに日本のソウルが込められてる奴らっすね」

 昔ながらの不良の匂いが色濃く漂う彼らは『ヤンキー進化論』(難波功士/光文社)では、お兄系に次ぐ「ネオ・ヤンキー」として分析されている。だが、彼らにはギャル男やお兄系とは一線を画す明確な特徴がある。

「ギャル男のつるみ方ってのは"広く浅く"が基本。でも俺らが大事にするのは"絆"なんすよ。どっちかっていうと"狭く深く"。信用できるブラザーと死ぬまでブラザー、みたいな」(同)

 "絆""仲間意識"。実際、全国のクラブで現場取材していると、よく耳にする言葉でもある。「クラブから生まれたカルチャー」というように、彼らのバックグラウンド・ミュージックは基本的にサイケ/トランスだが、現在、クラブイベントに集う連中によって「狂う(=CREW)」というチームが全国各地で組まれている状況がある。

「地元も年齢も関係なく、サイケ好きな奴らでつるんでます」(新潟狂ぅ代表・しゃち)

 そう、つまり「ヤンキー」的な縦社会ではなく、横の連帯意識でつながっているのがオラオラ系なのだ。そしてもうひとつ、彼らがよく口にする言葉が「ピース」である。

「ギスギスして喧嘩になるのは、みんなあんま好きじゃないっすね。普段もイベントも基本、ピース」(同)

 オラオラ系とは確かに不良文化の系譜を継ぐ存在ではある。ことさらに「日本文化」を主張しもする。それでも彼らを評するに「ヤンキー」という言葉がやはり適切ではないのは、このあたりに理由があるだろう。オラオラ系とはむしろ、「egg」(大洋図書)に始まりギャル男やお兄系を生み出してきた、90年代的な渋谷文化の流れを汲むユースカルチャーの最新型なのだ。

「レイヴの最前列でゴリゴリで踊る。それがオラオラの証しっすね」(同)

 現在、少なくないギャル男たちが髪を切り、オラオラ系に転向しつつある。レイヴ好きな和彫りの若者たちのマチズモは、アキバだ草食だ、フェミニンに傾きすぎた2000年代の男子たちに対する強烈なカウンターになるか!?

(鈴木ユーリ/悪羅悪羅イター)


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