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第1特集
朝日、日経も悔しがった!? 地方紙が抜いたスクープの歴史【3】

デカいツラするな全国紙! 地方発、日本を揺らしたスクープたち

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──ココでは実際の記事を、紙面を交えてご紹介。国を揺るがした沖縄返還密約にまつわる外務省関係者の証言から、ゆるネタが全国へ波及したオタマジャクシ降雨騒動まで、おらが町の記者さんたちの奮闘を見よ!

「1971年沖縄返還協定 米との密約あった」

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会社名:株式会社 北海道新聞社
発行部数:朝刊117万2526部 夕刊59万3236部
(09年6月)
発行地域:北海道、青森県(一部)

北海道新聞
◉06年2月8日(水)付朝刊1面

 1971年の沖縄返還に際して、本来米国が支払うはずの土地の復元費用400万ドル(当時の換算で約10億円)を日本が肩代わりしていたことを裏付ける事実が発覚。当時外務省アメリカ局長だった吉野文六氏へ同紙が取材をし、政府関係者として初めて費用負担の事実を認める発言を聞くことに成功したのだ。沖縄返還協定に関する報道といえば、70年代に起きた毎日新聞の西山太吉記者(当時)によるスクープとその取材方法をめぐる裁判が有名だが、本記事は70年代の報道を裏付ける一大スクープとなった。だが政府は当時から一貫して密約の存在を否定し続けており、本記事の中でも「現在、西山氏から当時の報道は正しかったと謝罪を求める裁判を起こされており、コメントできない」(外務省)と回答している。


「国保交付金算定ミス ソフト使用 国が指示」

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会社名:株式会社 沖縄タイムス社
発行部数:朝刊19万3290部
(09年6月) ※夕刊なし
発行地域:沖縄県

沖縄タイムス
◉07年6月23日(土)付朝刊1面

厚生労働省が国民健康保険の特別調整交付金の算定方法を誤り、那覇市への交付金が不足していたとする報道。これは、調整交付金交付申請書等作成システムの算定ソフトのうち、厚労省から誤った算定方式を伝えられた業者が作成したものがあり、そのソフトの使用を同省が指示したために起こった。当初厚労省は、「自治体は算定ソフトを絶対に使わなければならないわけではない」として国だけの責任ではないと強調していたが、結局同紙の取材に対し「国と市町村、どちらの責任が重いかと言うと国のほうだと思う」と責任の重さを認めた。その後、東京新聞や読売新聞などが同紙の後を追ってこの問題を取り上げ、最終的には全国で605市町村で過不足が発生していたことが報じられた。


「必修・世界史授業せず」

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会社名:株式会社 北日本新聞社
発行部数:朝刊25万0170部 夕刊3万1908部
(09年5月)
発行地域:富山県、金沢市、飛騨市、糸魚川市、
東京都、大阪府

北日本新聞
◉06年10月24日(火)付朝刊35面

 富山県の高岡南高校で、卒業必修単位である世界史A・Bの授業が、平成17年度2年生の一部に行われていなかったことが発覚。「世界史が必要ない大学を受験するから」との生徒の要望を受け、世界史、日本史、地理の中から選択する形をとったためとのことだった。その後、全国各地で同様の問題が明らかになった。大学受験勉強を最優先させた挙げ句に、単位不足で補修を行うという本末転倒さで、教育の現場のゆがみがあらわに。07年、北日本新聞はこのスクープで「黒部カドミウム禍」報道以来37年ぶりに新聞協会賞を受賞。


「黒部市にカドミウム禍」

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会社名:株式会社 北日本新聞社
発行部数:朝刊25万0170部 夕刊3万1908部
(09年5月)
発行地域 富山県、金沢市、飛騨市、糸魚川市、
東京都、大阪府

北日本新聞
◉70年5月18日(土)付朝刊13面

 日本鉱業三日市製錬所(富山県黒部市)から出る排気に、カドミウムが高濃度で含まれているのではないかという疑惑を取り上げた記事。"第二のイタイイタイ病"の発生を恐れた県が特別住民検診を行った結果、一部の住民に慢性カドミウム中毒による「腎臓障害の疑い」があると出た。しかし県側は、検査方法などに検討の余地があるとして、検査結果および同時に行った土壌分析の調査結果を公表しなかった。地元住民は当局のこの対応を批判し、データの公開を要求した。同紙はこのスクープで同年、新聞協会賞を受賞。


「ダイエー3選手スパイ行為」

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会社名:株式会社西日本新聞社
発行部数:朝刊84万1489部 夕刊14万8852部
(08年12月)
発行地域:九州全域(沖縄県を除く)

西日本新聞
◉98年12月2日(水)付朝刊1面、31面

 福岡ダイエーホークス(現ソフトバンクホークス)の当時の主力・吉永幸一郎内野手、大道典良外野手、柳田聖人内野手の三選手が、球場内のモニターテレビを利用し、相手バッテリーのサインを盗むスパイ行為を行っていたと報道。外野より映した映像から球団職員がサインを読み取り、それをバックスクリーン横の外野席にいたアルバイトの学生に携帯無線機で知らせ、学生はメガホンで打者に合図。メガホンを体の真ん中に立てると直球など、事前に暗号が決められていたという。この報道を週刊誌やワイドショーも後追いした。


「オタマジャクシ降ってきた」

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会社名:株式会社北國新聞社
発行部数:朝刊35万0122部(富山新聞を含む)、
夕刊 8万1345部(09年6月)
発行地域:石川県、 富山県(富山新聞)

北國新聞
◉09年6月5日(金)付朝刊30面

 今年6月4日夕方、中島市民センター(石川県七尾市)の駐車場に、100匹ほどのオタマジャクシが散らばっていたという記事。小規模な竜巻が発生しオタマジャクシを巻き上げたという説や、超常現象のファフロッキーズ現象であるなど諸説あるが、専門家たちは首をひねるばかり。この後も9日まで石川県でオタマジャクシやフナが降り、9日の時点で『とくダネ!』で取り上げられ、同日夕方には朝日新聞も報道。騒ぎは全国に広がった。そして13日には静岡県、15日には広島県と宮城県で同様の事件が相次いだ。


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