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第1特集
不条理な立ち退き請求に1万人が反発!

ここにもJRタブーが!? 「ルミネVSベルク」のその後

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新宿駅東口改札で出てすぐにある「ベルク」。店内は常時混雑状態。

 本誌08年11月号(ウェブサイト「日刊サイゾー」でも閲覧可能)でもお伝えした新宿駅東口の名物ビア&カフェ『ベルク』をめぐる立ち退き騒動。入居する駅ビル「ルミネエスト」(運営・ルミネ)から、今年3月末までの立ち退きを求められていたベルクに対して、営業継続を求めるファン1万人以上の署名が集まっていたのだが、期日を過ぎた現在、ベルクはどうなったのか?「2月に入ってからルミネさんの呼び出しがあり、とりあえず退店期日は延期するとのお話がありました」(迫川尚子・ベルク副店長)

 延期の理由として、ルミネは利用者からの反響を挙げているとのこと。さすが、公共性の高い駅ビルのオーナーだけあって対応が柔軟だ……と思いきや、残念ながら事態はそこまで好転してはいないようだ。

「立ち退きは『遺憾ながら』延期するというもので、現に、出て行く意思がないならと、今は月額30%の賃上げを求められています」(同)

 ルミネとしては、あくまでベルクに退店を求める方針に変わりはない模様だ。ファンとしては気が休まらないだろうが、さらに見逃せない問題がある。

 ご存じの読者も少なくないだろう、ベルクはこの立ち退き騒動だけでなく、昨年、井野朋也店長が上梓した『新宿駅最後の小さなお店ベルク』(ブルース・インターアクションズ)が1万部を超えるロングセラーとなり、注目を集めている。そこで最近では、複数のテレビ局から取材申し込みが相次いでいるものの、家主であるルミネがそれらを拒否しているというのだ。

MEMOベルク
06年4月、入店している駅ビル「マイシティ」の家主だった新宿ステーションビルディングが、ルミネに吸収合併されたことに伴い、立ち退きを求められている。

「あるディレクターさんは、ベルクをグルメ番組で取り上げたいので、立ち退き問題には一切触れない、取材日もいつでも構わないと申し込んだにもかかわらず、近々バーゲンがあること、ルミネがファッションビルである(=飲食店であるベルクはコンセプトに合わない)ということを理由に断られ、企画を断念したそうです」(井野店長)

 嫌がらせと取られてもおかしくない理不尽な理由だが、そもそも、テレビ局が家主に取材を事前に申し入れるのは、撮影機材などが他の利用客の迷惑にならないことを確認するための、いわばマナーの問題のはず。必ずしも従う必要はないように思うのだが──。

「ただ、ルミネの親会社はJRでしょ。JRの意向に反してまで企画を通そうというテレビマンは、なかなかいない。民放テレビ局にとってJRグループは大スポンサーだし、かつて『週刊文春』のキヨスクでの販売を拒否するという実力行使に出た過去もあるからね」(民放報道番組プロデューサー)

「週刊文春」販売拒否事件とは、94年6月から同誌が連載した「JR東日本に巣くう妖怪」をめぐって、JR東日本が管内キヨスクでの同誌の販売を一方的に拒否した一件のこと。キヨスクという巨大流通網を盾にした事実上の言論封殺は大きな批判を呼んだが、結局、文春は"全面降伏"ともいえるお詫び記事を掲載。以後、JR批判はマスコミの間でタブーとされてきた経緯がある(一昨年、「週刊現代」が同様の批判キャンペーンを展開した際にも、JR東日本は同誌の中吊り広告を拒否している)。ちなみに、「週刊文春」販売拒否事件当時、JR東日本の総務部長としてキヨスクでの販売拒否の正当性を主張していた花崎淑夫氏は、現在、ルミネの代表取締役社長だ。

 民放各局が及び腰になるのも頷けるが、それでも、評論家の佐高信氏はメディアの姿勢を手厳しく批判する。

「ルミネには、昨年、JRウォッチ(JRに安全と人権を!市民会議)の代表としてベルクへの違法な立ち退き勧奨の即時中止を求める要請書を送付しているが、今回の件で問題なのは、むしろ(民放)テレビ局のほう。ルミネが取材を不許可としただけで(法的効力がないにもかかわらず)それを突破できないとは、情けないの一言に尽きる」

 せめてもの救いは、頼りにならない大手メディアの代わりにベルクを見守る、多くのファンの存在か。

(編集部)


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