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第2特集
上戸彩 人気のヒミツを徹底解明【3】

しょこたん、深キョンと徹底比較 上戸彩はなぜ"成熟"しない?

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──まごうことなき真のアイドルといえる3人の"猛者"らと比較される時、上戸彩の本当の魅力が明らかになる〜!!

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完成を拒み続けることによってアイドルであり続けるという奇跡
上戸彩
 音楽活動においても、織田哲郎やRYOJI(ケツメイシ)など、有名アーティストが上戸彩をプロデュースしてきた。しかし数字だけを見れば、決して成功とはいいがたい。これは彼女がプロデューサーとの関係において、「遊ばせること」を許さない性質であることに起因している(小西康陽に存分に"遊ばれ"て成功した深キョン「キミノヒトミニコイシテル」を想起されたい)。
 上戸は単発ドラマ『古都』(05年、テレビ朝日)において、山口百恵が引退直前に演じた役柄に挑戦しているが、山口に似ているという外野の声に対し「自分らしくやれればいい」と、明確な意思を示している。自分らしさの徹底した追求こそが、今やパロディとしてしか成立しない「アイドル」化を拒み続けているのである。

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 アイドルとは、「不完全であるがゆえに愛される」という不思議な存在である。スタッフの戦略やファンの視線によって彼女たちが未熟から成熟へと導かれてゆくさまが、これまで、数多くのドラマを形成してきたのだ。

 しかし、世間はそんな"やらされ感"に気づき、アイドルを「サブい」存在だと認識するにいたってしまった。つまり今やアイドルは、アイドルとして完成度が高ければ高いほどサブくなるというジレンマから逃れられないのである(この「サブさ」に対し、現在の4大アイドルがどのようなスタンスを取っているかを図式化したものが右の表)。

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 過去、何かと比較されることが多かったアイドル時代の松浦亜弥を上戸は、「あややに勝てるわけないですよお」と評したことがある。完璧にアイドルを演じきれる松浦に対し、素直に白旗を揚げているのだ。しかし、アイドルに対するこの否定こそが、上戸の強力な武器となる。アイドルとして常に未熟な存在であることこそが彼女を、「常に未成熟な存在」=「アイドル」であり続けさせているのだ。

 この逆説的な奇跡。「成熟に一歩及ばない未成熟な状態」=「ブレイク前夜」という、アイドルが最も輝く瞬間を永遠へと昇華させてしまったアイドル。上戸彩とは、そのような存在なのである。

あえて今、アイドルであることを高らかに宣言する
中川翔子

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1985年5月5日、東京都生まれ。身長156cm。01年、「ポポロガールオーディション」でグランプリを受賞しデビュー。所属事務所はワタナベエンターテイメント。

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 上戸とは真逆のベクトルに位置するしょこたんが導いた解答は、「あえて」アイドルを演じること。つまり、パロディである。これは、04年頃までの松浦亜弥にも類似する手法であり、すでにして「サブい」存在であるアイドルを批評的にとらえ直し現在に再現してみせることで、突出した違和感を与えつつもアイドル性を成立させる、という高度なもの。

 松本隆&筒美京平に「綺麗ア・ラ・モード」(08年)を手がけさせるに至ったしょこたん。アイドルがただアイドルでいられた80年代(特に松田聖子)に対する彼女のリスペクトは、アイドルらしからぬエモーショナルな衝動に包まれている。


アイドルでありすぎたために、アイドルでいられなかった
松浦亜弥

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1986年6月25日、兵庫県生まれ。身長157cm。01年、「ドッキドキ!LOVEメール」で歌手デビューし、大ブレイク。所属事務所はアップフロントエージェンシー。

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 ブレイク期が近い(02年前後)ことから上戸とはよく比較されていたが、その振る舞いは大きく違った。かつては完璧に作り込まれた世界を生き、「アイドルサイボーグ」とまで称された松浦だが、06年2月24日放送の『僕らの音楽』(フジテレビ)でBoAの対談相手として招かれた際、「BoAってアイドルなの? アーティストなの?」との質問をBoAに投げてみせる。この問いはしかし、彼女自身に向けられた問いではなかったか?

 その後、「自分が裸で唄っていけるのであれば、 それも苦ではないな」(USEN「音楽と人」07年1月号)と、痛みを覚悟しつつも、脱アイドル宣言。この苦悩の裏には、アイドルでありすぎたためにアイドルでいられなかった彼女の、悲しきドラマがある。


この時代に"全身アイドル"でいられることの、強さと滑稽さ
深田恭子

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1982年11月2日、東京都生まれ。身長163cm。96年、「第21回タレント・スカウト・キャラバン」でグランプリを受賞しデビュー。所属事務所はホリプロ。

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 自らをマリー・アントワネットの生まれ変わりと称し、毎晩シャンパンを飲むなど、演じる役柄よりもさらに破天荒なプライベートを生きる深キョン。異性スキャンダルも少なくないからか、現在CMは、メナード化粧品とキリンの2本と少なめ。しかし、映画『下妻物語』(04年)のヒットや『ヤッターマン』(09年)におけるドロンジョコスプレの話題性など、女優としての結果を残すアイドルとして、上戸彩とは正反対に位置する。

 この時代に素のままでアイドルで居続けられてしまうということは、こんなにも強く、かつ滑稽なことなのだ。「やっぱり深キョンはかわいいな」の"やっぱり"は、「やっぱり朝青龍は強いな」のそれと同義である。


(構成/エリンギ、岡島紳士、下元陽(BLOCKBUSTER))
(絵/師岡とおる)


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