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読むのも100年かかりそう!?

お年寄りの間で大ブレイク! "鈍器"のような古典短編集

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本書は昨年2月に同社から出版された『諸国物語』(世界の文豪21人の中・短編集)の姉妹編として生まれた。

 厚さ7.5cm、重さ2.2kg(ほぼ新生児の体重くらい!)。「辞書か!」とツッコみたくなるこの本の正体は、明治から昭和初期までの短編小説を集めた、箱入り豪華本。装画のほどこされた書簡を外すと、中には森鴎外などの文豪から牧野信一のようなちょっとマイナーなところまで、51人の作家による物語が詰まっている。しかし、本が売れないと言われがちな時代に、持って帰るのも大変そうなこの本、一体誰が買っていくのだろうか?

「読者からの感想ハガキは年配の方が多いですね。『我が家の百年本として永久保存します』などという感想を送ってくれた方もいました」(ポプラ社担当編集・野村浩介さん)

 お年寄りがこのゴツい本を! と驚くが、中を開くと、すべての漢字にルビが振られた文が美しく並び、どこかで見た古い本のよう。お年寄りにとっては、若い頃に読んだ本のようで、むしろなじみ深いのかもしれない。

「この時代の小説を読んで思うのは語彙の豊かさですね。日本語の幅が広い。意図的な当て字も多く、作家がこういうふうに読んでほしいと自らルビを振っている場合もあります。読むリズムを崩さず、日本語の美しさを満喫していただければと思い、総ルビにしました」(同)

 確かに「我愧しき此扮装」(尾崎紅葉『拈華微笑』より)なんて、ルビなしで「わがはずかしきこのみなり」とは絶対読めないが、「このふんそう」なんて読んでしまったら台無しだ。それにしても、人生の諸先輩方の、年を取っても衰えない読書欲、見習いたいものです......。

(編集部)

『百年小説』
明治期に生まれた作家たちの短編を、作者の生年順に並べて編んだ一冊。各編の冒頭にある作者紹介には当時の文壇模様なども盛り込まれており、作品の背景まで踏み込むことができる作りになっている。
発行/ポプラ社 価格/6930円(税込)


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