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最高裁で、出版活動でも「肖像パブリシティ権の侵害」なるものが認められたが......

藤原紀香の「顔」は誰のものだ !? あの"音事協"に聞く肖像権の行方

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──テレビ、雑誌、ポスター、看板……見渡せば、日常のあちこちに"タレントの顔"が存在するが、それらは実は「肖像権」という権利で守られている。商業目的で、タレントの顔を勝手に使ってはいけないのだ。だが、本誌も含め、雑誌の多くには、使用許可を得ていないタレント写真が掲載されている。しかし、それらの中でも、芸能プロ側に訴えられるところもあれば、おとがめがないところもある。そのボーダーラインとは? それは誰が決めているのか? 肖像権侵害に目を光らせてきた芸能プロの業界団体・音事協に聞いた。

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メディアを通じて、世間に認知されてこそ意味があるタレントの顔だが、一方で、メディアに載せることが不法行為になることも。その境目が判断しにくいのは事実。

 一般人にはなじみが薄いかもしれないが、マスコミや中小の出版社にとって無視できない団体がある。社団法人日本音楽事業者協会、通称「音事協」だ。音事協とは、芸能プロダクションの業界団体で、バーニングプロダクション、ホリプロ、ワタナベエンターテインメント、吉本興業といった大手から、タレントが数名しかいないような中小の芸能プロまで、100社以上が加盟している(ジャニーズ事務所は加盟していない)。

 1963年に音事協が設立された目的は、タレントやプロダクションの各種の権利確立や保全を行い、芸能ビジネスの環境を改善し、それを通して社会貢献をしていこうというもの。その一環として、メディアによるタレントの名誉毀損行為などには、協会が主導となって民事訴訟のみならず、刑事での告訴や告発も辞さないという厳しい対応をしてきた。

 そんな音事協が、昨今特に注力しているのが「肖像権」に関する活動だ。

 肖像権とは、簡単にいえば、肖像が無断で撮影されたり、肖像本人の精神的苦痛をもたらすような態様で使用されないためのプライバシー権と、タレントなど有名人の肖像から生じる経済的価値を独占できるパブリシティ権から構成される。後者のパブリシティ権を侵害すること、つまり、タレントの顔や似顔絵を、第三者が勝手に商業目的で利用すると、肖像パブリシティ権侵害という不法行為となる。また、肖像だけではなく、氏名にも経済的価値は生じるため、それらを保護する権利を包括して肖像パブリシティ権ともいう。肖像権は有名人だけが有するものではなく、すべての人が勝手に肖像を撮影、描写、公開されない権利を持っているが、これは肖像権のうちでも人格権に属する部分だ。 音事協は、特に雑誌メディアによる肖像(パブリシティ)権侵害に目を光らせてきた。有名なところでは、コアマガジンの雑誌「ブブカスペシャル7」(02年6月発売)が、藤原紀香や優香、モーニング娘。などのタレントの通学中や幼児期の写真などを掲載したことを問題視し、プライバシー権だけではなく肖像パブリシティ権も侵害していると、音事協が主導して、原告となるタレントたちを取りまとめて、損害賠償請求訴訟を起こしている。

 この裁判は、今年10月に最高裁がコアマガジン側の上告を棄却し、プライバシー権と肖像パブリシティ権の侵害を認め、同社に約850万円の賠償を命じた高裁判決が確定した。出版における肖像パブリシティ権侵害が認められた初めてのケースとして、芸能界、出版界では大きな注目を浴びることになったのだ。

 と同時に、メディア側が音事協の動きに戦々恐々とすることにもなった。音事協から肖像権侵害の抗議を受けたある出版社は、訴えられたら大変だと雑誌の休刊を決断し、別のある出版社は、音事協傘下のタレントの肖像を使用しないことを誓約したという。こうした状況に対して、「メディア規制だ」と懸念を表明する向きもある。

 かくも出版社側を突き動かし、表現活動に影響を与える肖像権と、それに対する音事協のスタンスとはどのようなものなのか? 本誌、いやネットの普及で容易にメディアを持てるようになった一般人にとっても、明日は我が身ともいえる問題なのではないか? それらを解明すべく、音事協のマスコミ委員会担当理事で、ホリ・エージェンシー代表取締役社長の小野田丈士氏に話を聞いた。

肖像権順守を誓約する協定書を結んでいる

──まず、音事協が、肖像権問題に取り組むようになったきかっけを教えてください。

音事協(以下、) そもそも、名誉毀損によるタレントの人格権の侵害に対しては、音事協は設立当初から厳しい姿勢を取ってきました。メディアには「これは名誉毀損ではないか?」と、音事協として抗議をしたり、抗議書を送ったりしていた。中傷記事を書かれたタレント個人やプロダクションだけで行動しても、メディアとの力関係では勝てない場合が多いんです。たとえば、小規模のプロダクションが大手出版社に抗議をしたことで、同社の出版物すべてにおいて、そのプロダクションのタレントを使ってもらえなくなるなんてことがありえる。それを危惧して、泣き寝入りするプロダクションがあってはいけないと、音事協がメディアとの交渉窓口になることがあるわけです。そのように名誉毀損への対応をしている中で、記事中に使われている写真についても、これは権利を侵害されているのではないか? という話が出てきた。国内の判例では、76年にマーク・レスター事件の裁判がありました。マーク・レスターという役者が、自身の氏名と肖像を無断で宣伝に利用した製菓会社を訴えて、判決では、有名人の氏名・肖像には、集客力・顧客吸引力を有する財産的価値があると認められたわけです。その頃から、音事協としては、啓蒙活動を強化していますね。01年頃からは、消費者に対しても、広告を打ったり、セミナーを開催したりするなどして、肖像権啓蒙キャンペーンを行っています。

──肖像権の侵害に対して、抗議や法的手段に訴えたような事案としては、どのようなものがありますか?

 80年代に入ってからですが、放送局が番組用に撮影したタレントの写真を商品に無断転用したり、新聞社が広告にアーティスト写真を使用したりしたことに対して抗議をして、謝罪を得ています。その後、雑誌媒体での肖像の使われ方に関しても、出版社側に意識を高めてもらおうと働きかけてきました。そのために、まずは肖像権に関する「協定書」を結んでもらうようお願いしてきています。

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音事協が01年から展開している肖像権啓蒙キャンペーンの雑誌広告。業界内だけではなく、一般市民に広く理解を求めている。

──協定書とは、どんな内容なのでしょう?

 肖像権を遵守し、撮り下ろした写真については、個別の権利者に使用料を支払うこと、またその写真を二次使用する際には個別の権利者に許諾を取ることなどを定めています。最近では、ネットでの使用に関しても定めていますね。一度ネットに出てしまうと、拡散するのを抑えらないので、入り口に当たる出版社に対して、使用範囲を守ってくださいと。

──その協定書は、何社くらいと結ばれているんですか?
 
 すでに二十数社、媒体数でいうと40媒体以上と結んでいます。会社単位で結ぶ場合と、編集部単位で結ぶ場合がある。芸能記事を扱う頻度が高いところから、お声掛けして協力を仰いでいる感じですね。サイゾーさんとも、そろそろ結びましょうか。

──その打診が来るのは、出版社からしたらうれしいことなのかどうか(苦笑)。

 それは確かにそうでしょう。メディアによってもそれぞれ特色があるでしょうから、協定書の内容についても、こういうことは承諾できるけど、こういうことは難しいというのはあるはず。そのあたりは、個別に覚書で結んでいます。もちろん、記者会見だとか、慶弔事とか、舞台取材のときの写真などに使用料は求めません。報道ですから。ただ、その写真を商業目的では使わないでくださいということです。

タレントは商品だから事務所は出品調整をしたい

──たとえば、こういう使用目的であれば、プロダクションとしては肖像権の侵害を主張しないというボーダーラインというのは、明文化できるものなのでしょうか?

 肖像使用の様態がそれぞれ異なりますから、一概に明文化できるとは言い難いですね。私たちは、基準のための基準を作りたいのではなく、プロダクション・ビジネスの本分として、タレントの露出量や露出のされ方をコントロールしたいんです。タレントという商品を抱える側としては、自分たちが入れた仕事によって、タレントがどのように、どれくらい露出するかはわかっている。でも、それ以外に、私たちの手が届かないところで勝手に肖像が使われる。つまり、勝手に商品が市場に出回っているという状況は看過できないわけです。それが、正当な報道や批評目的であれば認めるべきですが、商品の価値やマーケティング戦略を崩すようなものは困る。情報露出の出荷調整だってしたいわけですね。売れているタレントだって、一時期はあえて露出を控えて、飢餓感を煽って一気に出すとか、プロダクション側はいろいろ考えているわけですから。

──そのためのコントロール装置として、肖像パブリシティ権というものを持ち出しているということになると、メディア側の表現の自由を奪うことにならないでしょうか? つまり、自分たちは公正な範囲での使用と思っていても、明文化されていない音事協の判断でいきなり訴えられるようなことがあると思うと、萎縮して、表現の範囲を狭めてしまうのでは?

 そこは大事なところで、いきなり訴えるなどということはしませんし、正当な表現の自由にまで踏み込まないということは大前提です。しかも、我々が杓子定規に肖像パブリシティ権を持ち出さないのは、基本的には相互のスタンスを理解して、妥協点を見つける余地を残しておきたいからです。たとえば、正当な報道目的の記事であれば、我々としては歓迎すべきものではなかったとしても、肖像パブリシティ権を持ち出すことはありません。でも、どこかの雑誌のように、その写真を使って、読者の性的関心に訴えるような記事を書かれたら、これは許せない。その場合はまず、抗議書を出したり、直接会ったりして、こちらの考えを伝える。結果的に我々の考えを理解してくれるメディアが多いので、訴訟にまで発展するケースはほとんどありません。今までに5件くらいです。

──では、音事協内では、どのような過程を踏んで、メディアへの抗議まで行き着くのですか? すべてのメディアをチェックしているわけではありませんよね。

 月に一度、マスコミ委員会が開かれて、そのメンバーが、書店やコンビニなどで入手した雑誌などを持ち寄って、検討するわけです。そこで問題になったものは、次に理事会に上がって、問題ありと判断されたものは出版社側などに対してアクションを起こす。でも、合議制ですから、そこで意見が異なることもあります。会員社が100以上あるわけですから、「これは絶対に許せない」というところもあれば、「これくらいはいいんじゃない?」というところもある。訴訟に踏み切る際にも、積極的でないタレントまで巻き込んでやることはありません。

──出版社とプロダクション側の利害関係や政治的なつながりの有無が、不法行為であるか否かの判断に影響してくることもありませんか? 大手出版社などとは、普段は仕事をこなしている仲なので、見過ごしてあげることが多いけれど、逆にメリットがない出版社は抗議や訴訟を受けやすいという側面が出てくるような気がします。たとえば、「ブブカスペシャル」事件にしても、同誌のような雑誌は他社でもたくさん出しています。過激なお宝写真を多数掲載してきた同社を、一罰百戒的に狙い撃ちにしたのでは? という見方もあるようですが。

 それはありません。コアマガジンに対しても抗議書を送付し、理解を求めるという対応を繰り返していたのですが、それが得られなかったため裁判になって、肖像パブリシティ権を尊重するという条件で和解したことがあったんです。それ以降は、一時、協定書も結んで、肖像使用に関しては、申請を出してもらうようにしていました。ただ、申請される企画に対しては、雑誌全体の内容を考えて、どのプロダクションもNOだった。コアマガジンからの申請は一度も承認されたことはなかったですね。結果的に、コアマガジンは協定書の延長も拒否して、肖像の無断使用をするようになった。中でも「ブブカスペシャル」の内容が過激だったので、音事協系プロダクションのタレントたちが立ち上がって、02年に提訴したわけです。

作り手やメディアに大義があるかどうかが大事

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ときに肖像権侵害との指摘を受ける可能性がある出版物たち。ところで音事協とは長く対立関係にあったコアマガジン「BUBKA」(12月号)の表紙に中川翔子(音事協の中心的事務所・ワタナベエンターテインメント所属)が、事務所承認のもと登場。何があった !?

──コアマガジンの関係者に話を聞いたことがありますが、彼らとしては、肖像パブリシティ権というものは法律的規定がないもので、表現の自由を制限するものではないし、同社の出版物における肖像の使用のされ方は、報道や論評の範囲内という認識のようです。

 確かに、終始どこが悪いんだというスタンスでした。でも、そうしたコアマガジン側の考えは、高裁で否定され、先頃、最高裁でも高裁の判決が認められています。他の出版社も似たようなことをしていましたが、我々が抗議する中で、問題があることを認めて、「次号からやめます」と是正してきた。最近では我々の活動が浸透してきたこともあって、目に余るような肖像の使い方をしている雑誌は、全体的には減ったと思います。その代わり、写真に頼らずに、ゴシップネタを集めたようなコミック本サイズの実話誌のようなものが増えた。と思ったら、判型は小さいんだけど、中は写真だらけというものが出たり……出版社も試行錯誤している感じですね(苦笑)。

──最近も、音事協から厳しく警告を受けて、「芸能スマッシュ」(晋遊舎)のように休刊を決定したという雑誌もあったようですね。

 こちらが「休刊にしろ」と言うことはまずない。自主的に判断されたんでしょう。

──そのほか、タレントの肖像権を考える上で、インターネットは無視できませんが、前述された通り、音事協としては手が回らない状況ですか?

 個人のHPやブログに関してはそうですね。個別のプロダクションで対応はしていても、音事協としてはできていない。今は動画を重点的にチェックして、テレビやDVDなどのタレントの映像が無断で動画サイトなどに転載されているときは、業者と連携して削除するという作業は行っています。

──ただ、YouTubeなどに無断転載された動画が、新人タレントにとってはいいプロモーションになっているという現実もありますね。

 これも、会員社によって温度差はあります。プロダクションによっては、今は露出を高めたい時期だから、この程度の肖像使用は見過ごそうと思うところもあるでしょう。やはり、物差しはあってないようなもの。ただ、動画の出元であるテレビ局などに対しては、「違法行為をされていると思いませんか? 著作権者として、しっかり管理しませんか?」と言い続けています。それと、プロダクションの思いとしては、ネットというメディアが、他のメディアのコンテンツを流用するだけのメディアになってほしくないというのはあります。もっとネットオリジナルのタレントの生かし方とかが出てきて、プロモーションメディアとしても、タレントに対価が落ちるメディアとしても機能してほしい。ネットは困り者のところもあるけど、芸能界にとっては期待も大きいんですよ。結局、出版にしても、ネットにしても、作り手の意志というか大義があるかどうかが、音事協の会員社が付き合う相手としては重要だと思うんです。タレントのお宝写真や悪口を並べて、人のふんどしで金儲けしようというメディアには、厳しい対応をしたくなる。反対に、強い意志のもとに行われていると感じられる批判や報道に関しては、タレントにマイナスになることがあっても許せるものが多い。決して、ヨイショばかりするメディアを望んでいるわけじゃないです。結局は、生身の人間同士がタレントという人間を扱うわけですから、お互いの気持ちを理解して、かつ共存共栄を目指すということが大事だと思うんです。

 この取材で明確になったのは、音事協が「何をもって肖像権パブリシティ権侵害」を訴え出るかということについては、使用様態によりケースバイケース、"確な統一規定はない"ということだ。「ブブカスペシャル」裁判のように高額の賠償金が認められたり、かつて、雑誌にアイコラを掲載したミリオン出版の社長らを名誉毀損罪で刑事告発し、逮捕にまで導いたという過去があるため、メディア側からしてみれば、音事協を恐れている面もあることは事実だろう。そのため、本文でも指摘した通り、メディア側による過剰な表現規制が危惧される。だが、現実は、音事協に警告を受けては平謝りをしておいて、時間がたったら、再度同じことを繰り返したり、写真の扱いを小さくして誌面の印象を変えたり、写真に目線やモザイク、マスク処理をしたりと、したたかな対応を見せているメディアも少なくない。

 あるお宝雑誌編集者は「どうせイタチごっこになるのだから、自由に肖像を使用させることを前提に、雑誌の売り上げの数パーセントを音事協が徴収し、タレント側に分配するような仕組みを作ればいい。協定書を結んで、いちいち許可を取っていたら、何日も待たされて締め切りに間に合わないし、待たされた挙げ句、許可が下りなかったときが大変だ」という。もちろん、音事協にとっては肖像使用によって対価を得るのが第一義ではなく、肖像使用のされ方をコントロールしたいという意向が強いのだから、この言い分は受け入れられるものではないだろう。だが、今後、黙っていても、タレント側にとっては歓迎されざる肖像使用がネット上には氾濫していく。一方で、読者の雑誌離れも食い止めようがない。そうした流れの中で、芸能界と雑誌を中心とした芸能メディアが共存共栄していくための新たな関係性の構築が求められているのは確かだ。

 ちなみに、本誌としては、プライベート写真やお宝写真、ゴシップ記事などから見えるタレントたちの人間模様があってこそ、芸能という世界が、より深みや彩りを持つと思うのだが……こんなことを言ってると、音事協からイエローカードを出されてしまうかも!?

(文/編集部)

刑事告訴という抑止力
音事協の次なる一手は?

"芸能界の番人"として、タレントと芸能プロダクションの権利を守るために、ときに芸能マスコミと対峙してきた音事協。本文中でも触れた「ブブカスペシャル7」事件以外にも、さまざまな形でその存在感を業界内に誇示してきた。

 エポックメイキングだったのは、「スター交歓図裁判」だろう。1976年に「問題小説」(徳間書店)が、山口百恵や桜田淳子、西城秀樹、野口五郎などの当時人気絶頂だったタレントたちの実名を挙げて、彼らの異性交友関係を性的描写も交えて描いた記事「決定版スター交歓図」を掲載。また、この記事を「女性自身」(光文社)が転載して、さらに流布させたというものだ。

 これに対して、タレントたちが両誌の編集スタッフらを名誉毀損罪で告訴。結果的には、「問題小説」編集長が懲役6カ月・執行猶予2年、「女性自身」編集長代理が罰金15万円という有罪判決を受けた。通常、名誉毀損は民事として訴えるケースが多いが、この時の刑事告訴のイニシアティブを取ったのが音事協だった。

 逮捕や起訴、当局による厳しい取り調べにまで発展することがある刑事告訴は、メディア側にとってはかなり脅威だ。それゆえ、見せしめ的効果も強い。「この事件以降、音事協に加盟している芸能プロのタレントのスキャンダルを扱うときには、すごく気を使うようになった。そのため、非音事協系のタレントのほうが叩かれやすいという風潮が出来上がったと思う」(ベテラン芸能記者)という声もある。

 01年、ネット上のアイコラ(合成ヌード)を雑誌「POWERS」に掲載したとして、発行元のミリオン出版の社長らが名誉毀損罪で逮捕された事件も、音事協が取りまとめて、タレントたちに告訴をさせている。同社が音事協による警告を無視したことによって、告訴にまで発展してしまったケースのようだが、これによって雑誌上のアイコラはほぼなくなった。05年には、ネット上にアイコラを掲載していた掲示板の管理者らが逮捕されたのを受け、アイコラ自体も激減している。

 告訴は、再発防止という観点から見たら、抑止効果はてきめんだ。それゆえ、音事協は、肖像権侵害も刑事罰の対象になるよう当局に働きかけていくのではないか? との見方もあるが、同協会いわく、現時点ではそのような動きはないという。

「刑事でやられるのと、民事でやられるのとでは、メディア側としては天と地ほど違う。刑事で処罰されるようになったら、今までのように抜け道を探してまで、タレント写真を使用することはないだろう」(お宝雑誌編集者)という意見もある中で、音事協の今後の動きが注目される。

昨今、名誉毀損や著作権侵害で逮捕される者も少なくない中、近い将来、「肖像権侵害で逮捕」という時代が来るのだろうか?


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