日本全国で導入済!――中国製監視カメラ【米輸出規制】は手遅れ
2020年1月19日 11:00
2011年5月23日 18:00
品川美容外科の公式HPより。
受話器の向こうの声は冷たかった。「痛みは2日ほど続きますから」。病院で手術を受け、帰宅後に調子を崩し、もがき苦しむ患者が発したSOSに対して、病院側が告げた言葉がそれだった。
東京を拠点に全国展開をみせる美容整形業界のトップ「品川美容外科」で、2009年暮れ、腹部の脂肪吸引を受けた前田京さん(70歳)が手術後まもなく死亡する医療事故が起きた。術後、異状を訴えた前田さんに対する病院側のつれない対応、そして突然訪れた死......。マスコミの取材に応じた前田さんの長男は当時、「病院からは、なんの説明もない」と言い知れぬやり切れなさをにじませていた。
あれから1年半。警視庁は4月20日、業務上過失致死の疑いで品川美容外科に勤務する37歳の執刀医を逮捕したが、不可解な死のいきさつは今も藪の中だ。今回の事件は、広く一般に行われるようになってきた脂肪吸引とは何が異なり、前田さんはなぜ死に至ったのか?
脂肪吸引といえば、「食事制限や運動などのダイエットをしなくても、苦労せず痩せられる」ことで普及した美容整形法。直径2ミリほどの吸引菅「カニューレ」を体内に挿入し、脂肪を吸い出すのが一般的だ。
今回の逮捕容疑を見ると、逮捕された堀内康啓医師は09年12月2日、品川美容外科の池袋院で前田さんに脂肪吸引手術を施した際、カニューレの先端をよく確認せず、約10カ所の腸壁を突き刺して小腸を傷つけ、2日後に死亡させた疑いが持たれた。死因は、小腸を損傷したことで起こる脱水症状などとみられ、容疑は、手術時の注意義務を怠ったことによる業務上過失致死だった。
しかし、前田さんが亡くなった当時、品川美容外科の代理人弁護士は、マスコミの取材に対して、こうした嫌疑に真っ向から反論した。
「堀内医師は足の付け根から管を挿入し、脂肪を吸い出すごく一般的な施術を行ったという主張でした。それに、手術時間は1時間程度。医師自身、弁護士の内部調査に『事前の問診も、術後の経過も問題はない』と答えています」(大手紙社会部記者)
こうした病院側の言い分を聞いていると、では、なぜ前田さんが亡くなったのか説明がつかない。そこで警視庁は、家宅捜索の末に、カルテや手術の様子を撮影したビデオ映像の記録を押収。映像を分析した専門医は「器具の操作が速く、粗い」と指摘したという。司法解剖の結果からも、カニューレが同じ個所に何度も差し込まれた跡が見つかり、通常とは違うやり方だったのではないかという疑いが強まった。単なる執刀医の未熟さだけでは説明のつかない、施術上の不手際があったのではないかとみられているわけである。
だが、医師の不手際は、施術上のミスにとどまらなかったようだ。今回、本誌は品川美容外科の関係者に話を聞くことができた。そこからわかったのは、売り上げ至上主義ともいえる同院の実態。このことも、少なからず、今回の悲劇を生んだ原因となっているように思えてならないのだ。
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